2019年2月18日(月)

春秋

春秋
2019/2/13付
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17世紀の英国では、国の姿を数値で表そうという動きが出てきた。オックスフォード大の解剖学教授も務めた経済学者、ウィリアム・ペティは先駆者のひとりだ。人口や貿易、消費額などをもとに英仏蘭3カ国の国力を比較した「政治算術」は岩波文庫にも入っている。

▼「自分のいわんとするところを数・重量または尺度を用いて表現」する手法は斬新だった。作家や経済評論家などとして活躍した堺屋太一さんも数字で世の中の動向をつかむスタイルは共通している。暇があればデータを読む統計の虫。「団塊の世代」「平成三十年」など、日本の将来の予測小説を書けたのもうなずける。

▼経済企画庁の長官を務めていた2000年、自らの発案で景気ウオッチャー調査を始めた。タクシー運転手やコンビニ店長など、消費の動きを実感できる人たちの声を聞いて指数化する調査で、今も続いている。通産官僚を18年経験したこともあり、どんな統計が景気判断や経済運営にほしいか、かぎ取っていたのだろう。

▼少子高齢化が進む未来を案じ、手をこまぬく場合の様々なリスクを警告してきた堺屋さんからすれば、政府統計の調査不正は対策を議論する土台を揺るがすものと映ったろう。感覚や感情を排して社会の実態をとらえ始めたペティ以来の積み重ねが崩れていきかねない。統計の立て直しを一刻も早く、との警鐘が聞こえる。

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