春秋 - 日本経済新聞
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春秋

カップラーメンが1個88円、食パン6枚切りが98円、EPA(経済連携協定)で関税撤廃と銘打ち、フランスのボルドー産ワインは797円となっていた。週末の新聞折り込みチラシである。消費者の低価格志向に、スーパー側もめいっぱいの努力で応えているふうだ。

▼政府と日本銀行がデフレからの脱却の旗を勢いよく振りはじめて、はやくも6年になる。ところが、いまだに成果はくっきりとはあらわれない。先ごろの日銀の会合では2019年度の物価見通しを1.4%から0.9%に引き下げたのだという。目標とする2%の頂へは近づいているどころか、逆に遠ざかってさえいる。

▼今年は教育無償化がスタートし、携帯電話の料金値下げだってあるかもしれない。大規模なポイント還元で対策をとるという消費増税の影響も見極めがたい。一方で、ドラッグストアが積極的に食品を扱うようになり、スーパーと客を奪い合うなど小売業の競争も激しい。物価が上がりにくい地合いは続きそうなのである。

▼それでも黒田総裁は上昇の「モメンタム(勢い)は維持されている」と強気だ。きょうは立春。各地からウメの便りが届くが、総裁もつぼみのごとき兆しを統計に見ているのか。低金利がじわり金融機関の体力を奪うのも心配だ。日本橋川に沿い威容を誇る日銀。唱歌「冬景色」にこんな詞がある。●(歌記号)いまだ覚めず岸の家。

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