デジタル発 資産民主化
SmartTimes ネットイヤーグループ社長 石黒不二代氏

2019/2/6 6:30
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衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZO(ゾゾ)の前沢友作社長が123億円で絵画を購入し話題になったことがある。私も欲しいと思った人がいるかもしれないが、現実に買える人はほとんどいない。簡単な話だ。あまりに高額だからだ。

1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。

1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。

しかし、仮に絵画が1000分割されていたら、どうだろう。所有できる金額かもしれない。この絵画をデジタル化すればできるようになる。売却も同様だ。分割した絵画の1000分の1を所有し、売却ニーズが生まれたら、それをまた10分割すれば購買ニーズに合致するだろう。

これらは、ブロックチェーン技術により、改ざん不能で、即時に実行できるようになる。それはあらゆる資産に適用される。絵画だけではない。近所にあるビル、球団、水、二酸化炭素排出権、すべてがデジタル化され、それらをブロックチェーン技術で管理すれば可能になる。

今までは、もうかる投資対象の資産は特定の選ばれた層だけのものだった。不動産やインフラ投資、ベンチャーキャピタル(VC)への投資など、ほとんどの高額商品やサービスへの投資は、ウェルスファンド、ペンションファンド、プライベート・エクイティ、保険会社、そして、富裕層にだけに機会が与えられてきた。そして、その富は、ますます膨らんでいく。

しかし、これらの投資機会が一般層に広まれば、世界のファイナンスの様相は変わるだろう。もっとたくさんの人が、投資マインドさえあれば、より魅力的な投資対象に投資ができるようになる。

ブロックチェーンを取り巻く風景は、インターネット初期と同様だ。中央集権のビジネスモデルの終焉(しゅうえん)。改ざんができない。トラストレス(信用が必要ない)だ。参加承認が不要など、技術はユニークで素晴らしいものだと理解されている。ブロックチェーンの展示会に行けば、様々なスタートアップがしのぎを削ってビジネスモデルの説明に躍起になっている。今ひとつピンとこないのは、もうかる実感が湧いてこないためだ。

しかし、前述の話が現実になれば、これは、明らかに新しいビジネス機会だとわかる。ブロックチェーンはその実力をまず金融の世界で発揮していく。そして、今後の成長が難しいとされるファイナンス業界に新しい息吹を与える。

米国では、資産のデジタル化やブロックチェーン管理を行う新しい投資銀行が生まれている。その一つであるY2Xの創業者であるトッド・モーリー氏の言葉を引用しよう。「デジタル化は資産の民主化である」また、ブロックチェーン推進協会代表理事の平野洋一郎氏(アステリア社長)の言葉も引用したい。「インターネットは情報の流通、ブロックチェーンは価値の流通である」

[日経産業新聞2019年2月4日付]

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