2019年7月22日(月)

よりそう、「顔」見えるネット販売 電話で感情くみ取る
戦略ネットBiz

コラム(ビジネス)
2019/1/30付
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NIKKEI MJ

インターネット経由で葬儀や僧侶を手配するよりそう(東京・品川)がオフラインの顧客サポートに力を入れている。葬儀を依頼する人は高齢者が多く、「顔が見えない」ネットで注文することへの不安は根強い。スピード感を持った電話対応など顧客サポートを充実させることで不安を和らげ、葬儀市場におけるネット販売の比率を引き上げる戦略だ。

よりそうは顧客からの電話に対して迅速な対応を心がけている(東京都品川区の本社)

よりそうは顧客からの電話に対して迅速な対応を心がけている(東京都品川区の本社)

千葉県を中心に葬式場「小さな森の家」を運営する金宝堂(千葉県野田市)はよりそうと提携し、ネットでの受注に力を入れている。もともと仏具店だったが、「少子高齢化を背景に今後は家族葬が伸びる」とみて6年前に葬儀事業に参入。特にマンション住民が多い同県松戸地区では「ネット経由の葬儀が全体の5割に上る」という。

かつて葬儀は親族や会社関係者など多数の人を招き、費用は数百万円をかけることが珍しくなかった。最近では少子高齢化や所得水準の低迷を背景に招待客を家族に限定する「家族葬」を選ぶ人が増えている。スマートフォンが喪主となる50~60代に普及したこともあり、ネットで葬儀を依頼することは以前と比べて身近になった。

しかしそれでも葬儀は1回数十万円と高額の費用がかかり、事前にサービス内容を比べるのが難しいことから、ネットで依頼することへの消費者の不安も根強い。よりそうによると、ネットで葬儀を依頼する人の比率は市場全体の3~4%にとどまる。そこで同社が力を入れるのは電話対応などの非ネットの顧客サポートだ。

2018年10月、これまで東京・高田馬場にあったカスタマーサポートセンターを東京・五反田の本社内に移転した。同センターでは顧客からの問い合わせに24時間365日対応。ネットだけでは拾えない遺族のニーズや感情を担当者が聞き取り、葬儀社に引き継いでいる。

同年3月には導入していた顧客管理システム「セールスフォース」の機能を強化。約900社の葬儀社や僧侶手配サービス「お坊さん便」で提携する1300人以上の僧侶のデータベースを整理して必要な情報を取り出しやすくした。顧客から葬儀の依頼があった際には、所在地や対応プランなどの葬儀社の情報をひも付けてスピード感をもって対応できる。この結果、顧客ニーズと斎場とのマッチング作業に関する生産性が20%向上したという。

CS企画グループの太田暁子氏は「葬儀はやり直しがきかない。顧客の要望をしっかりくみ取り、感情や温度感も合わせて葬儀社に伝えるようにしている」と話す。

ウェブサイトで資料請求があった際に顧客に送るパンフレットも刷新。仏壇や法要、お墓や散骨など終活にまつわる23サービスの内容や費用を分かりやすく表示した。

こうした取り組みは葬儀社から一定の評価を得ている。よりそうと提携し都内で低価格葬儀を手がける中央葬研(東京・千代田)の島崎航社長は「顧客を案内いただく際の対応がスムーズ。教育がしっかり行き届いていると感じる」と話す。

よりそうの芦沢雅治社長は「ネットで葬儀を頼む人の比率は将来は20%まで高まる」と予想する。遺族の感情に配慮する電話対応を充実し、さらなる成長をめざす。

(鈴木健二朗)

[日経MJ2019年1月30日付]

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