今年の「EC動向」予想してみた 変わるお金と時間の意識
奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

2019/1/27 6:30
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NIKKEI MJ

「平成最後の」といううたい文句もすでに聞き飽きてきたが、平成から新元号に変わる2019年。電子商取引(EC)の現場における消費者の変容について予想してみよう。

楽天は完全キャッシュレスのスタジアム「スマートスタジアム」構想を発表している

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まず1つ目は、10月の消費増税。平成元年(1989年)の導入以来、一桁台だった税率が10%になるという心理的な影響は大きい。税込みベースで従来より2ポイント分上昇するとなると、買い物に対する考え方も変化するだろう。

日用品も含めてこれまでより2ポイント分高くなると思うと、家計を守ることが多い女性の買い物への意識も変化するだろう。「本当に必要なものであるか」と自問自答が増税後しばらく続きそうだ。

サブスクリプション(定期購入)で消費税分をカバーしたいという心理は今まで以上に働くに違いない。サブスクリプション導入企業にとって、消費税の分を値下げできるかが大きな訴求ポイントとなろう。

2つ目は「キャッシュレス決済」の本格化だ。昨年末に実施されたペイペイのプロモーションを契機に認知度は上がっている。ただ正直、主婦でもある身としては、キャッシュレスはやっぱり怖い。何が怖いって、自分が怖いのだ。便利イコール使いすぎとならないだろうか、と。

消費者は現金決済に最も慣れているので、キャッシュレス決済を使い続けてもらうには、ポイント特典や抽選での全額ペイバック、ポイントの現金還元などさまざまな工夫が必要だろう。

消費増税とキャッシュレス決済。節約への関心が高まる中で、キャッシュレス決済にどのようにインセンティブをつけたらいいのか、企業にとっての悩みどころだ。

3つ目は、政府が主導する「働き方改革の定着」だ。働かせ方改革と、皮肉る向きも多いが、残業依存の夜型から、通勤も比較的、楽な朝型にシフトしている人も多いだろう。実際テレビ局の友人に聞くと、現役世代の朝の番組の視聴率が高くなっているそうだ。従来は高年齢層が中心だった早朝時間帯に、インターネット系のトレンド情報が流れることもある。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

働き方改革で残業が減り、1秒でも早く会社に来て積み残した仕事を片付けようという意識も強くなっているようだ。

インターネット企業などはターゲットとなる消費者がどのような時間の使い方をしているかを、自社コンテンツのアクセス解析などにより「来ているお客さん」から見るだけではなく、より広い視野で「来ていないお客さん」からも追うべきだろう。

朝の通勤時間、昼休み、夜の帰宅時間、就寝前。この4つの時間帯にどうコンタクトするかは、物販だけでなくサービス・情報に携わるあらゆる企業が知恵を絞っている。大きな動きとして朝にシフトしていることは意識すべきだ。

消費増税、キャッシュレス決済、働き方改革によるタイムシフト。元号が変わる19年は、お金と時間の使い方と意識も、じわりと、しかし確実に変化するだろう。

[日経MJ2019年1月25日付]

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