/

春秋

終戦直後、吉田茂は「餓死者が大勢出る」と連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサーに訴え、米国から大量の食料を送らせた。だがそんな状況にはならない。日本の統計はでたらめだと詰め寄られるや、「日本の統計が正確だったら、米国と戦争などしていない」。

▼ユーモアを武器に、和製チャーチルと評された元首相の面目躍如たるエピソードだ。さて我が国の伝統芸でもあるまいに、またぞろ統計に関する不手際が世を騒がせている。働き方改革をめぐる労働時間や、技能実習先から失踪した外国人の調査に続き、今度は雇用や賃金の変動などを把握するための毎月勤労統計である。

▼定められた方法で調査をせず、それを糊塗(こと)するような動きまであったというから驚く。データの誤りが原因で失業手当などを少なく受け取っていた人への追加給付には、約800億円が必要となる見通しのようだ。政府は一度決めた予算案を修正するために、閣議のやり直しを迫られた。混乱はしばらく収まりそうにない。

▼不正な手法に走った動機や組織的関与について厚生労働省は「調査中」としている。必然、ほかの調査にも疑惑の目は向く。古今東西、統計をめぐる名言は少なくない。「統計であらゆることが証明できる。ただし真実を除いて」もその一つ。だがもう、少しも笑えない。真実を指摘している言葉だとしか思えないからだ。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連キーワード

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません