2019年1月18日(金)

春秋

春秋
2019/1/13付
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フレディ・マーキュリーへ。この映画はあなたのためのものです――。米ゴールデン・グローブ賞の授賞式で、作品賞となった「ボヘミアン・ラプソディ」のプロデューサーは、壇上でそう語った。企画を立ち上げてからおよそ10年たつ。感慨もひとしおだったはずだ。

▼ロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディの生涯を現代の俳優で再現した。移民の家に生まれ、容姿に悩み、性的少数者として生きて、当時は不治だった病で没した。その軌跡は往年のファン以外の心も打ち、日本でも好調が続く。「あなたの真実の物語」を今こそ描きたかったというプロデューサーの言葉は重い。

▼授賞式では、「天才作家の妻」で主演女優賞を受賞したグレン・クローズの話も感動を誘った。文才があるのに「女性だから」と世に出られず、夫の影として生きた妻の役。「私たち女性は自分の満足する人生を見つけよう。夢を追いましょう。私たちにはできる」。そんな趣旨の語りに、聞く女優たちも涙を流している。

▼数年前には選挙戦にトランプ現大統領が無断で曲を使い、クイーンのメンバーが抗議している。赤狩りからセクハラ告発まで、映画界も政治や社会問題と無縁ではない。その緊張感が作り手を鍛えるのか。才能、資金、販路などさまざまなものの支えでエンターテインメント産業は育つが、根は志。あらためてそう感じる。

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