2019年4月26日(金)

露天風呂に150ヵ国 宝川温泉汪泉閣(群馬県みなかみ町)
おもてなし 魅せどころ

コラム(ビジネス)
2019/1/14付
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NIKKEI MJ

群馬県みなかみ町にある宝川温泉汪泉閣は、利根川の支流である宝川をはさんで4カ所ある大きな露天風呂で知られる。

川を挟んだ広大な混浴露天風呂が外国人客をひきつける

川を挟んだ広大な混浴露天風呂が外国人客をひきつける

上越新幹線上毛高原駅と宿を結ぶシャトルバスが到着すると、ロビーは外国人客であふれ各国の言葉が飛び交う。スタッフは当然のように英語で応じる。年間の宿泊者の半分が外国人。紅葉が美しい秋から雪景色が楽しめる冬にかけては特に多く、100人余りの定員のうち日本人客が2人だけのこともあるという。

「2年間の外国人客の国籍を調べてみたら150カ国以上。旧ソ連と南米の国は全部あったし、聞いたことがないような国から来たお客さんもいた」と小野与志雄社長(54)は話す。

「明日の新幹線で広島まで行きたい」。訪れる外国人客は行動的な人が多い。国籍で多いのはタイで、欧米からの客も目立つ。大浴場に入るのを嫌う文化から中国人や台湾人は少ない。景色が似ていて珍しくないためか、韓国人もほとんど来ないという。

以前から外交官や有名サッカー選手が訪れるなど「なぜか外国人に人気があった」。20年ほど前に世界的な旅行ガイドであるロンリープラネットに紹介されると外国人客が急増。「少子高齢化で日本人客はどんどん減る。気に入ってもらえているのだから外国人客をターゲットにやっていこう」と決意する。英語が堪能な社員を採用したり、言葉の通じない外国人に親切に接するようにしたり。

とはいえ、特別なことはしていない。「お客さんがSNS(交流サイト)に写真を上げたりして勝手に盛り上がってくれる」からだ。予約の大半はネットの口コミを見て宿泊サイト経由で入るため、川沿いの露天風呂や木造建築の宿など「写真映えがするようビジュアルを整える」のがやるべきことになる。館内の英語表示も多すぎるとかえって好まれないので、目立たないようにしている。

一方で悩みもある。宗教やグルテンフリーなどさまざまな要望に応えるのが難しいため、原則として夕食はバイキングに統一した。だが、日本人客には評判が悪く「暗中模索の状態」。駅からの無料シャトルバスの利用が増え、以前使っていたマイクロバスでは収容しきれず、バス会社に委託したことも経費増につながっている。「バスパックのような商品にして、バス代相当分をいただけるような形」を検討中という。

(前橋支局長 塚本直樹)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年1月14日付]

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