2019年2月21日(木)

SNSが生んだ新しいクチコミ 「体験の可視化」が台頭
奔流eビジネス (アジャイルメディア・ネットワーク取締役 徳力基彦氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2019/1/11付
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NIKKEI MJ

平成が幕を閉じ、5月から新しい元号が始まる2019年。このコラムでは18年の日経MJヒット商品番付を振り返りながら、「ポスト平成」のヒット商品を生み出すマーケティングを展望したい。

DA PUMPの「U.S.A.」は特徴的な動きのダンスも人気を集めた

DA PUMPの「U.S.A.」は特徴的な動きのダンスも人気を集めた

西の横綱に選ばれた動画投稿アプリ「TikTok」は10~20代を中心に爆発的な広がりを見せた。テレビCMなど広告キャンペーンの印象も強いかもしれないが、やはりクチコミで広がったアプリの代表と言えるだろう。

ソーシャルメディアの普及でクチコミの影響力が向上したことは今に始まった話ではない。18年のヒット商品番付からは、単なるクチコミではなく、「体験の可視化」とでも呼ぶべき新しいクチコミの傾向が台頭してきているのが分かる。

TikTokは、自らが踊ったり歌ったりしている体験を投稿するサービス。西の関脇に入ったゾゾスーツは、実際に試着してサイズを測った体験をSNS(交流サイト)に投稿する人が多発したのが印象的だった。東の前頭に入った「U.S.A.」は特徴的なダンスが注目され、多くの若者がマネして踊り、その動画をSNSに投稿するようになったことがヒットにつながっている。

筆者と同じ昭和の世代の方々は、「クチコミ」と言えばレストランの料理のおいしさや、デジカメの性能などの特徴を「言葉で推奨する」ことをイメージする人が多いのではないだろうか。

だが現在はTikTokやインスタグラム、ユーチューブのような画像や動画の「ビジュアルコミュニケーション」が中心になってきている。実は言葉で推奨しなくても、商品やサービスを楽しんでいる写真や動画という「体験の可視化」がされれば、クチコミ効果を十二分に生み出すのだ。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

製品やサービスについてつたない言葉で説明されるよりも、実際に楽しそうに使っている様子を見る方が気になるという人は少なくないのではないだろうか。

そう考えると、東の大関に入った「スマホペイ」のひとつであるヤフー・ソフトバンク連合によるペイペイが実施した、40回に1回ペイペイでの支払いが10万円まで全額戻ってくるというキャンペーンには学ぶところが多い。

これまで、どのスマートフォン(スマホ)決済サービスを使っているかを周りに言う機会はほとんどなかった。ペイペイはこのキャンペーンで、当選者は当選という体験を可視化し、落選者は落選という体験を可視化する、ということに成功してしまったのだ。

画像や動画SNSの利用者層は、徐々にシニア世代にも増えてきていると聞く。19年も体験の可視化はヒット商品を生み出すキーワードとして重要になっていくはずだ。

[日経MJ2019年1月11日付]

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