2019年3月24日(日)

出国税の使い道を注視する

2019/1/4 23:16
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7日から国際観光旅客税、通称「出国税」の徴収が始まる。恒久的に徴収する国税としては1992年の地価税以来、27年ぶりの新税となる。政府は訪日外国人の受け入れ環境を整備するのに使うとしているが、無駄遣いがないか厳しい目で点検すべきだ。

新税は2歳未満の子など一部の例外を除き、国籍を問わず日本からの出国時に1人1000円を一律徴収する。2018年の訪日外国人は3000万人を超え、日本人の出国者も17年実績で約1800万人。政府は19年度に500億円前後の新税収入を見込む。

観光庁の予算は倍増した。気になるのは使い道だ。外国人がストレスを感じずに旅行するための環境整備、日本の魅力を伝える情報の発信、地域の文化や自然など観光資源の整備――の3分野を、政府は使途に挙げている。

外国人旅行者の満足度を高めるために、ある程度の財政出動は必要だろう。しかし本来なら他の公共事業などをけずって、その分を振り向けるのが筋だ。新たな税を設け、しかも特定財源としたことで、観光振興という名目のもとで無駄遣いが生じやすくなったのは、否定できない。

観光振興を目的に掲げた補助金などはすでに結構ある。補助金をあてこんで魅力の乏しい観光メニューを提供する企業や団体が増え、結果として地域全体の満足度はむしろ下がって困っている。そんな声が一部の企業などから聞こえてくるほどだ。

今後、例えばIT(情報技術)による魅力発信を名目に、閲覧をさほど期待できそうもないウェブサイト制作に税がつぎ込まれる恐れはないか。地域の観光資源の整備を掲げ不要な建設工事が行われないか。一定期間の後、費用対効果を厳しく検証したい。

また、徴収手続きの簡素化を理由に一律1000円とした結果、格安ツアーでの家族客や周辺国・地域と頻繁に往復する客などの負担感は強くなった。新税の旅行需要への影響も注視したい。

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