米中摩擦が影落とす年始の円高株安

2019/1/4 23:16
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2019年の金融・証券市場は波乱の幕開けとなった。外為市場では一時1ドル=104円台まで円高・ドル安の進む場面があり、株式市場では日経平均株価が急落して再び2万円を割り込んだ。米中貿易摩擦が実体経済に影を落とし始めたとの懸念が浮上し、市場が警戒を強めている。

日本が年末年始の休暇中に海外発で不安材料が相次いだ。なかでも株安の引き金となったのが米アップルの収益の下振れだ。

同社は、主力のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売が中国で振るわず、18年10~12月期の売上高が事前の予想に届かないと発表した。株価下落の流れは、同社に部品を提供する日本企業などにも広がった。

心配なのは同社が、米中の緊張の高まりを販売不振の理由としたことだ。「消費者に影響が出てきた」と説明している。貿易摩擦が目に見えるかたちで収益の足を引っ張り始めた可能性がある。

その中国では景気減速のサインが強くなっている。国家統計局が発表した18年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.4に下がった。同指数が50を割り込むのは、景況感の悪化を示す黄信号だといえる。

日本は世界経済が堅調なときは円安と株高が進みやすい。半面、先行き不透明感からリスク回避の流れになると、逆に円高と株安が同時に起きがちだ。年始の円高には、取引が少ない中でコンピューターの自動取引が変動を増幅した面があるとはいえ、神経質な市場の雰囲気を映すものだろう。

19年の世界経済は減速が見込まれる。ただ、経済協力開発機構(OECD)が3.5%成長を予測するなど底割れするような状況ではない。だが不安定な市場が続き企業や家計の心理が冷え込めば、実体経済に跳ね返りかねない。その懸念は再び下がってきた日米の長期金利にも読み取れる。

2月末が期限の米中の貿易交渉は打開の糸口がなおみえない。国内は10月に消費増税を控えている。政策当局は市場が発するサインを注視しつつ、適切な対話と慎重なかじ取りが求められる。

本来、株価は企業の将来にわたる収益への期待を映すものだ。投資家の不安をはね返せるのは、効率的に稼ぐ力を高め続ける個々の企業の経営努力だろう。持続的に成長していく企業が増えることこそ、市場全体を活性化する。

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