2019年3月24日(日)

「うさぎ島」癒やされ映える 大久野島(広島県竹原市)
おもてなし 魅せどころ

コラム(ビジネス)
中国・四国
2019/1/7付
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NIKKEI MJ

豊かな自然と海に囲まれた瀬戸内海。大小様々の島で構成する瀬戸内海国立公園の中でも、若者を中心に人気が急上昇しているのが大久野島(広島県竹原市)だ。通称「うさぎ島」と呼ばれ、県内外の観光客に加えてインバウンド(訪日外国人)も引き付ける。島を訪れる人たちが求めるのは癒やしとSNS(交流サイト)映えだ。

島の歴史ある遺構は平和学習にもつながる

島の歴史ある遺構は平和学習にもつながる

「もうすこし顔を上げてくれないかな」。スマートフォンや自撮り棒を抱え、ウサギの写真を撮ろうとするのは大阪府から来た20代女性5人組。広島市への旅行を兼ねて島を訪れたという。「インスタ映えする写真が撮れるまで帰らない」と意気込んでいた。

広島駅から車で東に1時間半ほど離れた忠海港から、フェリーでさらに15分。一周約4キロメートルの大久野島にはウサギが700匹ほどいる。毛の色や長さ、耳のたれ具合はそれぞれ異なるが、全てアナウサギという種類だ。ワーレンと呼ぶ巣穴を掘り生活をしている。

1970年代に地元の小学校で飼っていた8匹が放たれ、島にウサギが住みついたとの説が有力という。島にはレストランを併設する宿泊施設「休暇村大久野島」があるが、従業員以外に暮らす人はいない。

最近は訪日客が急増している。海外のサイトで島の記事が紹介されると、2013年に378人だった訪日客は翌年に5564人と15倍に増加。17年は1万4358人を記録した。国内客を合わせると36万人を超える。竹原市観光協会は英語や韓国語のパンフレットも急ぎつくった。

「ウサギに癒やされるだけでなく、歴史の勉強にもなる」と話すのはオーストラリアから来たカップルだ。日本陸軍が戦時下、毒ガス工場を島に設置し、砲台跡や防空壕(ごう)などの遺構が点在する。毒ガス資料館では当時の工員の手記や毒ガス製造装置を展示し、広島市内の原爆資料館と併せて平和学習で訪れる欧米からの観光客も多い。

西日本豪雨の影響で観光客数は落ち込んだが、昨年9月以降は戻りつつある。JR呉線の運転見合わせで最寄りの忠海駅へのアクセス手段が途絶えたが、「代行バスや、大久野島の南に位置する大三島を経由して来てくれた」(竹原市観光協会の宮原三郎会長)。昨年12月には呉線が完全復旧した。「観光客増に弾みをつけ、竹原市の盛り上がりにつなげたい」と宮原会長は話している。

(広島支局 田口翔一朗)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年1月7日付]

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