春秋

2018/12/30 1:05
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米グラミー賞の日本版をつくろう。そんな志で始まったのが日本レコード大賞だ。初回の会場は空席が目立ち、著名な作曲家も法被姿で呼び込みに励む。「黒い花びら」で大賞を受賞した水原弘は、候補に選ばれたとき「レコード大賞? 何それ」と聞き返したという。

▼その年を代表する1曲には時代の空気が凝縮している。佐良直美「いいじゃないの幸せならば」なら、大学紛争が収束に向かう1969年の空気に合ったと同賞の公式ガイド本は解説する。喝采、襟裳岬、北の宿から、勝手にしやがれ。70年代の受賞作は誰もが知る歌ばかり。年末になると賞レースの行方を皆で予想した。

▼中継したTBSの責任者はガイド本で、最大の事件に平成最初の年を挙げる。主催者らはこの年亡くなった美空ひばりの受賞を想定。しかし選考委員のうち若手の音楽関係者は2人組アイドルを推し、後者が制した。翌年から大賞は演歌とポップスの2本立てになり、3年後再び一本化するなど往年の勢いは薄らいでいく。

▼分裂期にポップス系で大賞を取るのが、さくらももこ作詞「おどるポンポコリン」だ。西城秀樹は79年、外国曲だからと「ヤングマン」で参加できず大賞も逃す。敗者すらドラマを生むのがこの賞か。好況を映すダンス曲を残した2人は最近、鬼籍に入った。きょう60回目のレコ大は、今年を記憶する歌に何を選ぶだろう。

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