春秋

2018/12/28 1:12
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国際化した日本語のひとつに「ガイアツ(外圧)」がある。かつて日米の貿易不均衡を話し合った構造協議の場では、この言葉がさかんに飛びかったという。日本はガイアツを嫌いつつも結局はそれによって変わり、やりにくい政策転換の口実にもしてきた歴史がある。

日産のカルロス・ゴーン元会長逮捕をめぐる先月来の騒ぎは、そういうガイアツが刑事司法に及んできた出来事としても特筆されよう。否認を続けたら保釈されない「人質司法」への非難の大合唱は国内でも起きている。大昔からの問題なのだが、外国の後押しがあると不意に目覚め、気が大きくなるのはわれらの伝統か。

▼裁判所もその流れに乗っているように見えるのを、どう考えよう。特別背任容疑で再逮捕されて幻に終わったものの、東京地裁はゴーン元会長の保釈へ積極的に動き、グレッグ・ケリー役員の勾留は否認のまま解いた。裁判官の良識ここにありと褒めてもいいが、ガイアツに揺さぶられたなら値打ちが下がるというものだ。

▼ともあれ、それやこれやで日本の刑事司法が良くなるとすれば結果オーライだと思って今後に目を凝らそう。こんどの判断に照らすと、学校法人「森友学園」の補助金詐取事件で10カ月も勾留された前理事長夫妻のようなケースはまず許されぬことになる。ガイアツが襲いそうにない件にも、ナイアツはかけねばなるまい。

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