2019年9月16日(月)

春秋

2018/12/26 1:10
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衝撃的な映像だった。インドネシアのスンダ海峡で発生した火山の噴火による津波である。観光客に人気のジャワ島西部の海岸沿いのリゾート施設では、バンドの生演奏中に大波がステージを破壊した。警報は発せられず、クリスマスの休暇を楽しむ人々をのみ込んだ。

▼海峡の火山島アナク・クラカタウ山が噴火して海底地滑りが発生。津波を引き起こした可能性が高い。1883年の大噴火では火山島の3分の2が崩壊し、巨大津波が約3万6000人の命を奪った。火山灰が熱帯の光を遮り、真昼でも夜のように暗くなったという記録が残る。規模は小さいが、悲劇は繰り返されたのだ。

▼日本でも1640年(寛永17年)、北海道駒ケ岳の噴火で津波が起きた。松前藩の史書によると、100隻以上の船が流され、700人余りが溺死した。対岸の古寺にも津波が到達した記録があり、高さは8メートル以上だったと推定する研究者もいる。道内屈指の観光地「大沼公園」は当時の噴火の堆積物が創り出した美景だ。

▼古代ローマ人は、火山に火の神が宿ると信じた。わが国も同じ。富士山の浅間大社は山の神霊を祭る。噴火を神の怒りと畏れ祈りをささげてきた。列島には111の活火山がある。祈りだけで鎮めるには心配だ。18世紀の雲仙普賢岳の火山活動による津波「島原大変肥後迷惑」などの史実も参考に、備えに知恵を絞りたい。

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