2019年7月24日(水)

MSD、医師のバイブルをスマホで 医療分野の連携も視野
戦略ネットBiz

コラム(ビジネス)
2018/12/26付
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NIKKEI MJ

米製薬大手メルク日本法人のMSDが、幅広い医療情報を掲載したスマートフォン(スマホ)アプリの提供を10月に始めた。ウェブブラウザー向けに提供していた「MSDマニュアル家庭版」をスマホアプリでも手軽に閲覧できるようにした。高齢化も進む中、専門的な医療知識を分かりやすく、手軽に提供することで、ブランドイメージの向上などにもつなげる。

MSDは専門性の高い医療情報をスマホアプリで一般向けに提供する

MSDは専門性の高い医療情報をスマホアプリで一般向けに提供する

MSDマニュアル家庭版は、医療従事者が日々の診療に活用してきた専門性の高い情報を、一般向けに平易な文章で翻訳して提供するのが特徴。浮腫(ふしゅ)を「むくみ」と表現するなど理解しやすいように言い換えた上で、専門的な情報を一般向けに提供する。

「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」のような聞き慣れない病気も、分かりやすい言葉で解説。「医師と患者が同じ水準の知識を共有することで、相互理解にもとづいて治療方針などを決められるようになる」(MSD メディカルアフェアーズ メディカル・デジタル・イノベーションの大村雅之マネージャー)と期待する。

疑われる病名や必要な検査を「症状」から調べたり、イラストや動画で病気のメカニズムや検査の流れを視覚的に理解できるようにもした。病気の予防や治療だけでなく「いじめや虐待が子供の発育に及ぼす影響、親の介護など心身の健康にかかわる内容を幅広くカバーする」(大村氏)のも特徴だ。英語や日本語など複数の言語に対応する。

医療者向けに提供している「MSDマニュアルプロフェッショナル版」とも連携させた。医師が患者への説明時にプロフェッショナル版とともに家庭版を参照し、専門用語を分かりやすく言い換えたりするのに役立つ。

執筆陣は米国の臨床医など300人以上の医療分野の専門家だ。その原稿をメルク社外の査読者やメルク社内の編集者などが確認し完成させる。メルクの研究開発や営業などの事業からは切り離し、情報の公正さを保っているという。

日本語版は英語版の翻訳をベースに、専門家の監修を受けて日本の医療環境などを考慮した注釈を付けた。

MSDマニュアルはもともと、メルクが医師や薬剤師向けのポケットマニュアルとして1899年から出版を続けてきた医学書だ。"医師のバイブル"と呼ばれるほど医療者の間では知名度が高い。

1990年代半ばからは一般消費者向けの「家庭版」を追加。2014年からはウェブサイトやスマホアプリなどデジタル版のみを出版している。「医学の進歩は加速しており、紙に印刷している間に情報が古くなってしまう」(大村氏)ことに対応した。日本語版は今後、1年に複数回更新し最新の情報を盛り込みたいという。

医療分野のさまざまなデジタルサービスとの連携も視野に入れる。例えば医療の専門用語を複数言語に自動翻訳するサービスの開発などにつながる可能性がある。こうした連携も通じてデジタル時代の「より良い医療の実現に貢献する」(大村氏)考えだ。

(大下淳一)

[日経MJ2018年12月26日付]

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