2019年1月18日(金)

郵貯の膨張は看過できない

社説
2018/12/23付
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ゆうちょ銀行への貯金の預入限度額を再び増額することが固まった。2019年春から通常貯金と定期性貯金の上限額をそれぞれ1300万円とする方向だ。現在は合計1300万円なので、限度額は実質2倍となる。

ゆうちょ銀は政府が株式の過半を握る日本郵政の子会社だ。日本郵政による保有株の放出が進んでいない現状を踏まえれば、郵便貯金のなし崩しの膨張は、政府の信用をてこにした民業圧迫のそしりを免れない。地方経済の低迷で地域金融機関の収益悪化が鮮明になっているなかで、競争条件を一段とゆがめるおそれがある。

郵政民営化委員会による3年ごとの民営化の進捗の検証作業は、3年ごとの参院選と重なる。自民党の一部議員は、有力支持団体である全国郵便局長会などの意向を踏まえ、限度額の再引き上げを時期尚早とする金融庁に圧力をかけてきた。郵政民営化が政治に翻弄される構図は一向に変わらない。

ゆうちょ銀は15年に株式上場しており、収益力の向上と株価のてこ入れを迫られているのはわかる。だが、限度額の引き上げは、本当に投資家の評価を得られる「成長戦略」なのか。

最大の投資先である日本国債は超低金利下で利回りが稼げない。余剰資金を日銀口座に預ければマイナス金利を適用される。貯金を集めるほど、郵便局長らに手数料が支払われるインセンティブは廃止すべきだろう。

全国展開するゆうちょ銀の経営を安定させる方策のひとつが、地域金融機関との幅広い連携だ。ところが地銀側の不信は深まるばかり。ゆうちょ銀と親密な地銀はスルガ銀行など一部にとどまる。

メガバンクの1.5倍の巨額預金を抱えるゆうちょ銀を民間金融システムに円滑に組み込むのはもともと難事業だ。だからこそ国会などの場で、ゆうちょ銀への出資比率に応じた業務規制を確認し、株式売却の時期など停滞する民営化プロセスの再始動を改めて議論することが必要だ。

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