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宴も高輪でございますが

SmartTimes ユーザーローカル社長 伊藤将雄氏

今月4日、品川と田町の間にできる新駅の名称が「高輪ゲートウェイ駅」になると決定したことを新聞やテレビが報道した。筆者のオフィスはJR田町駅近くにあり、この駅名がネットでどういう印象なのかがとても気になった。

1997年早大政経卒、ビジネス誌出版社に入社。2000年楽天入社。02年に学生時代に開発した「みんなの就職活動日記」を事業化し、04年に楽天に売却。05年にユーザーローカル設立。

そこで、SNS分析システムのSocial Insight(https://social.userlocal.jp/)という自社ツールを使って、調査してみた。

このような評判を調べる方法としては、アンケート調査が一般的だ。被験者に少額の謝礼を支払って設問に答えてもらうことで世間の評判を調べるものだ。

この方法とは別に、現在はクチコミ分析という手法もある。ネット上に書かれた大量のクチコミデータを収集・分析して、投稿件数の推移やインパクトを調査するもので、傾聴(けいちょう)と呼ぶ場合もある。近年では言語処理の技術と組み合わせることで、どういった単語と一緒につぶやかれているか、印象の良しあしなども分析できるようになってきた。

まず、新駅名に関する話題がどのぐらいSNSに投稿されているか時系列で調べてみたところ、駅名発表当日が6万件、翌日が5万件、2日後が4万件であった。この規模の投稿件数がある時事ネタは珍しく、SNS上で大変話題になったこと、そして発表日以降も継続的に言及されていることが判明した。

話題にしていた人の属性は男女比が7対3であり、年齢は10代~20代が半数ほど。地域ではやはり関東が7割と偏っており、四国や九州ではあまり話題になっていなかった。

つぎに、印象の良しあしの件数を調査したところ、発表直後は山手線という昔からある路線にカタカナ混じりの新駅が出てきたことへの違和感や拒絶の声が多く、悪い評価がいい評価の件数を大幅に上回っていた。だがその後、この駅名を面白がったポジティブな投稿が増えてきたことで、良い評価の声が逆転した。

当初は違和感があった新駅の名称が、それをもじった冗談(ネット用語でいうところのネタ)として扱われることによって名称が次第にSNSユーザーに浸透していったというプロセスが明らかになった。

そのなかでも盛り上がっていたものとして「たけなわ」と「高輪」をかけた冗談があった。今年の忘年会では「宴も高輪ゲートウェイではございますが…」という締めの言葉がオヤジギャグとしてきっと流行るのではないか、という趣旨の投稿だ。ツイッターのユーザーから、1万3千件のリツイートと2万4千件のいいねがつくという大きな反響があった。

SNSのクチコミ分析は、アンケート調査と異なり、周囲の批評や冗談に流されることで利用者全体の印象が刻々と変わっていく点が面白い。

[日経産業新聞2018年12月19日付]

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