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金属加工のキャディ 「スピード命」製造業に変革

先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

NIKKEI MJ

東京都墨田区に本社を置く板金加工ベンチャーのキャディが約10億円を調達した。金属加工の会社は東京・大田区などにも山のようにあるのになぜ。疑問が湧き、即座に取材を申し込んだ。

キャディは業界の異端児だ。通常は数日から2週間かかるという見積もりをなんと7秒で出すという超特急会社である。素早く見積もりを出すことで、納品も早くなる。その想いは、社名に込められている。筆者は、ゴルフのキャディが由来かと思ったが、違った。「CAD(コンピューターによる設計)データからダイレクトに発注できるからキャディ」。加藤勇志郎・代表取締役は淡々と語る。

「製造業の調達分野は非効率や不合理で、100年以上、イノベーションが起きていない。抜本的に解決したいと思い、創業した。テクノロジーによる製造業の改革を目指す」。加藤氏の経歴はユニークだ。東京大学卒業後にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、最年少マネージャーに。大型輸送機器や医療機器、消費財などの大手メーカーに対して購買・調達改革をサポートするなか、この事業を思いついたという。

最高技術責任者の小橋昭文氏は、スタンフォード大学・大学院で電子工学を専攻、ロッキード・マーティン米国本社で約4年働いた。その後、米アップルの本社でiPhoneなどの電池分野を担当したエンジニアだ。

エリート街道まっしぐらだったふたりがなぜ、金属加工を。素朴に疑問がわいた。「コンサルの経験から、事業創造で社会課題を解決することの面白さに魅了された」。加藤氏は振り返る。

キャディはいわゆるファブレス経営で、工場は持っていない。協力工場と連携して金属加工品を作っている。キャディに発注している埼玉県内の包装機械メーカーは従来、数社の板金加工会社と取引していた。

だが、板金加工会社もほかの顧客を抱えており、見積もりが遅かったり、発注を断られたりすることがあった。一方でキャディは即座に見積もりを出して納期も早いので、継続利用しているという。キャディからの発注を受ける金属加工の会社も料金を「叩かれる」ことが一切なく、安心して取引できている。

「3年後にアジアトップ級の取引額300億円を目指す。設計から製造・販売まで製造業を支えるプラットフォームを構築していく」。加藤氏は意気込みをこう語る。

「スタートが肝心」という言葉がある。仕事の現場でも、会議の連続で判断が遅くなり、プロジェクトの開始が遅くなって機会を逃した経験は何度もある。メールなどの連絡もそうだ。ちょっとしたスタートの遅れが命取りになる。その意味で、「見積もり7秒」は画期的だ。まさにスタートダッシュ。この手法はあらゆる業界で使えそうだ。

[日経MJ2018年12月17日付]

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