2019年3月26日(火)

日印が導く技術革新
SmartTimes BEENEXT ファウンダー・マネージングパートナー 佐藤輝英氏

コラム(ビジネス)
2018/12/12付
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今年10月末にインドのモディ首相が来日し安倍晋三首相と会談、デジタル分野で新しいパートナーシップ協力を推進することで一致した。締結された日印デジタル協定では、人工知能(AI)技術の共同研究、スタートアップ企業や人材の相互進出を促すプランが発表された。

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

インドの力強い経済成長を下支えしているデジタル分野の興隆の源泉は、1980年代のIT(情報技術)サービス企業の勃興にさかのぼる。続いて2000年前後から始まったインターネットの普及が数多くのスタートアップ企業を生み出し、第二の成長期をもたらした。

16年1月、モディ首相はそれらの成長をさらに加速させるため、スタートアップの振興を促す野心的なプログラム「スタートアップ・インディア」を発表している。同年4月以降に立ち上げたスタートアップには3年間法人減税する措置を採ったり、インド国内のスタートアップに投資するファンドを支援する「ファンド・オブ・ファンズ」を組成したりするなど、有益な施策が投入された。

そして、各州政府はこれに呼応するようにスタートアップ支援策を掲げ始めた。インド最大のIT都市バンガロール市を擁するカルナタカ州はもとより、観光産業で名高いラジャスタン州、製造業で栄えるグジャラート州など、それぞれが競うようにスタートアップ振興策を打ち出し、国をあげての大ムーブメントになりつつある。

この恩恵もあり、インドのスタートアップ業界は特にここ数年、大変な活況を呈している。インド・インターネット・モバイル協会(IAMAI)によると、インドにはすでに5億人のインターネットユーザーがいる。また4万社のスタートアップが生まれており、ユニコーンもすでに20社近くを数える。

世界中の資金も流れ込む。17年は米ドル換算で137億ドルの資金がインドのスタートアップに投資された。また、インド最大手のEコマース企業のフリップカートの8割弱の株式を米ウォルマートが160億ドル(約1兆7600億円)で取得し買収、業界を沸かせた。

最近では、インドで発展を遂げたスタートアップがグローバルに展開する事例も見え始めた。インドのモバイル決済最大手のPaytm(ペイティーエム)はソフトバンクヤフーと組んで日本でもモバイル決済を開始し、インド発の新興格安ホテル運営会社のOYOも昨年の中国での展開に続き、18年度内には日本にも展開予定である。インド発のテックイノベーションが他国に染み出し、新しいイノベーションの流れがおきつつある。

ハードウエアに強みを持つ日本とソフトウェアで伸びるインド。両国の密接なつながりと連携深化はこれからますます重要になってきそうだ。

[日経産業新聞2018年12月12日付]

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