2019年5月22日(水)

法成立でも残る外国人受け入れの課題

2018/12/8 20:05
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外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案が参院で可決、成立した。社会不安を防ぐ手立てなど明確でない点は多く、政府は円滑に受け入れを進める具体策を示す責任がある。

改正法は単純労働への外国人の就業に門戸を開く。人口が減るなかでも日本が成長するためには必要な制度改革といえる。

問題は懸念される副作用への対策がはっきりしていないことだ。安倍晋三首相は深刻な人手不足を和らげるために外国人の就労拡大の必要性を強調した。半面、国内労働者の雇用への悪影響を防ぐ対策などは具体性を欠いている。

来年4月の改正法施行に伴い新設する在留資格のうち、一定の日本語力と技能を持った外国人が取得できる「特定技能1号」は対象業種が建設、農業、介護など14に及ぶ。外国人の就労が広がれば日本人の賃金の伸びが鈍るという指摘もある。

受け入れる人数を柔軟に調節する仕組みが要る。人手不足の状況を調べたうえで就労許可を与える労働市場テストの導入を含め、入念な制度設計が求められる。

低賃金で外国人を雇う企業が増え、安い労働力への依存が強まり生産性向上が遅れる恐れもある。外国人の在留管理や労働条件の監視も強化しなければならない。

1カ月足らずの国会審議で議論が深まったとは言いがたい。大島理森衆院議長は衆院での採決段階で政府・与党に、法施行前に関連政省令を含めて新制度の全体像を国会に報告し、再質疑にも応じるよう求めた。

重要なのは足元の人手確保策としてだけでなく、中長期の視野に立って受け入れ体制を整えることである。外国人の生活を支援し、社会に溶けこませる社会統合政策が問われる。

支援にあたる人材の育成を急ぐべきだ。ボランティアが多い地域の日本語教室の教師や、病院と外国人患者の仲立ちをする医療通訳者は、専門職として養成する制度を考えてはどうか。

熟練者が取得できる新しい在留資格の「特定技能2号」は家族帯同が認められる。子どもの就学支援策も詰める必要がある。

外国人に選ばれる国をめざさなければならない。企業の違法行為が後を絶たない技能実習制度は抜本的な見直しが必須だ。技能実習の在留資格は特定技能1号に統合し、法令順守を徹底すべきだ。

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