2018年12月16日(日)

伊ブランド動画炎上の教訓

社説
2018/12/2付
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イタリアの高級ブランド「ドルチェ&ガッバーナ(D&G)」がネットで流した動画が中国人を侮辱していると批判を浴び、不買運動が起きた。SNS(交流サイト)の威力を改めて世界に印象付けたといえる。

グローバル化とデジタル化が同時に進む社会では、情報が瞬時に全世界に広がり、誰でも発信できる。消費者がもはや黙って聞き従う時代ではないことを企業は肝に銘じるべきだ。

D&Gの動画は、アジア系の女性が不器用に箸をつついてピザやパスタを食べる内容だった。中国人の反感を買い、上海で予定されていたファッションショーが中止となったほか、アリババ集団や京東集団(JDドットコム)など大手の通販サイトが相次いで同社の商品を撤去した。

さらにD&Gの過去の広告も差別的だとやり玉にあがり、批判が増した。同社は問題の動画を削除したが、一度発信した動画やコメントは削除してもどこかに残る。創業者の謝罪後も中国人の怒りは収まらず、中国市場で築き上げてきたブランドの価値が、不用意な動画やコメントで一瞬にして崩れ落ちた。

ネットの世界ではフェイク(偽)ニュースの拡散や個人情報の流出など、信頼性を揺るがす問題も起きている。しかし多くの人が利便性を享受しており、あらゆるものがつながる流れは止まらない。

今回のような騒動は、中国に限らず、どの国でも、どの企業でも起こりうる。日本の企業は他山の石とすべきだ。

何より一般の消費者が、有名ブランドでも物おじせずに批判する発言力を持った現実を認識する必要がある。ネットの利点とリスクを踏まえ、声を上げ始めた消費者とどう向き合うか、改めて考える機会としたい。

非寛容の空気がただよう今の世界では、とくに国や民族、宗教に関する批判は先鋭化する。異文化への理解や相手の共感を得る不断の努力も欠かせない。

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