2018年12月16日(日)

パリ協定は実効性あるルールで合意を

社説
2018/12/2付
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2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」のルールづくりが大詰めを迎える。2日にポーランドで始まる国連の気候変動交渉「COP24」でまとめる。各国の政策や法制度に反映させるにはぎりぎりのタイミングだ。合意に全力をあげる必要がある。

パリ協定は産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇を2度未満に抑え、さらに1.5度以下にとどまるよう努力すると定めている。達成へ向け、各国が自主的に削減目標を決めるしくみだ。

ただ、目標の設定法は国によってばらばらだ。温暖化ガス削減量の測定、検証や、目標の達成度合いの評価は統一的な手法や基準が不可欠だ。ルール作りはパリ協定に魂を入れるのに等しい。

世界最大の温暖化ガス排出国である中国や、対策が遅れている途上国は先進国に比べて「甘い」基準を求めている。対策を進めるための資金支援とセットで検討すべきだとの声も多い。

パリ協定の実効性が損なわれない範囲でどこまで歩み寄れるか。COP24で各国が議論を尽くして着地点を見いだしてほしい。

国連環境計画(UNEP)が11月に出した最新報告によると、世界の温暖化ガス排出量は2014~16年の間、ほぼ横ばいだったが17年は増加した。各国の今の目標を積み上げただけでは、2100年の世界の平均気温は産業革命前に比べ約3度上がるという。

上昇幅を2度未満にとどめるには30年までの削減目標を約3倍、1.5度未満なら約5倍に増やす必要があると試算した。極めて厳しい注文だ。

猛暑、豪雨、強力な台風の襲来など世界各地で異常気象が相次いでいる。原因の一つに温暖化があるというのが、多くの専門家に共通した見方だ。一刻も早くルールを固め、削減行動の加速につなげる必要がある。

日本は再生可能エネルギーを主力電源とする方針を示したが、化石燃料への依存度はなお高く説得力に欠ける。パリ協定の下で作成する、50年にかけての温暖化ガス削減の長期戦略も未提出だ。

欧州などに比べて温暖化対策に後ろ向きと受け止められており、より機敏な行動が要る。

日本の人工衛星による温暖化ガス観測や、省エネなどの先端技術はルールの作成や途上国支援に役立つ。最大限活用し、パリ協定の実効性を高める工夫をすべきだ。

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