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ビジネス揺るがすネット炎上 「ノットミー」に潜む危険

先読みウェブワールド (山田剛良氏)

NIKKEI MJ

SNS(交流サイト)を企業が販促ツールの一環として利用するのはもはや当たり前となっている。企業にとって怖いのは、不用意な発言などが大規模なボイコット運動につながる「ネット炎上」だ。先日も伊高級ブランド「ドルチェ&ガッバーナ(D&G)」の創業者がネットで漏らしたとされる不用意な発言が炎上した。こうした企業の炎上対策を専門とするコンサルタントがいる。

「D&Gが決定的にまずかったのは『ノットミー』。あれで打つ手がなくなった」と指摘するのは、炎上対策コンサルティングを手掛けるMiTERU(東京・港)のおおつねまさふみ代表。「ネットウオッチャー」として知られてきたおおつね氏は、2018年3月に同社を立ちあげた。

D&Gは中国で猛烈な炎上にさらされている。原因になったのが、上海でのショー宣伝の目的で投稿した動画。内容に疑問を持ったあるユーザーがインスタグラムのダイレクトメールで、創業者のステファノ・ガッバーナ氏とやり取りしたとされる内容がショー当日の11月21日にリークされた。「うんこ」の絵文字などを使ってガッバーナ氏が中国を侮辱する内容が書かれていたのだ。

野火のように広がる批判に驚いたのか、ガッバーナ氏はインスタグラムに、リーク画像に「これは私じゃない(ノットミー)」の文字を重ねて投稿。D&Gも「アカウントがハッキングされた」と告知したが、騒ぎはむしろ拡大。ショーに参加予定だったモデルや俳優の出演拒否が相次ぎ、ショーは中止に追い込まれた。大手電子商取引(EC)サイトなどからは、D&G商品が消えた。

D&Gはショー中止から2日後の23日、ガッバーナ氏ら創業者2人の謝罪動画を公開したが、事態の収拾には時間がかかりそうだ。

おおつね氏によると炎上に積極的に関わるのは正義漢。「『あいつは反省すべきだ』という心理や、何らかの善意にかき立てられた人が炎上を起こす」という。D&Gの場合は「デザイナーがあからさまに中国を侮辱した」という認識が炎上を生んだ。

ノットミーがなぜまずいかというと「都合の悪い事実を隠そうとしている、彼はうそつきだ」という疑惑を強化するから。「その後に態度を翻して謝罪しても受け入れてもらえなくなる」(おおつね氏)。炎上を鎮火させる正攻法は正義の拳を振り上げた人たちを納得させる対策。「そこまで言うなら許してやるか」というレベルに持ち込む必要がある。

D&Gの炎上でベストの解決策は何か。ガッバーナ氏の暴言をリークしたユーザーやショーをボイコットした人気俳優らと和解し、D&Gを擁護する声明を出してもらうことだと、おおつね氏は指摘する。ガッバーナ氏は「ブラックジョーク好き」として知られており、「今回は冗談が過ぎた」で受け入れられる可能性はある。

ただこれも当初のノットミーのせいで「鎮火のためのポーズだろ?」という声を抑えきれない難点がある。D&Gの炎上の場合、ハッキングを裏付ける証拠は出ていない。おおつね氏は「『ノットミー』で鎮火に成功した例はほとんどない。証拠なしにノットミーを言うのだけはやめた方がいい」と話す。

[日経MJ2018年12月3日付]

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