2019年9月22日(日)

ニクレンジャーに学ぶ事後承認の覚悟 許容できる企業文化を
奔流eビジネス (アジャイルメディア・ネットワーク取締役 徳力基彦氏)

2018/12/2 6:30
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NIKKEI MJ

11月9日、2018年にクチコミで盛り上がった企画を表彰するWOMJアワードが発表され、「外食戦隊ニクレンジャー」がグランプリに選ばれた。WOMJアワードは、クチコミマーケティングの協議会であるWOMマーケティング協議会が選考している表彰企画。「外食戦隊ニクレンジャー」のクチコミの盛り上がりが非常に大きかったことが、受賞理由にあるようだ。

外食5社の公式ツイッターを通じて結成されたニクレンジャー

外食5社の公式ツイッターを通じて結成されたニクレンジャー

「外食戦隊ニクレンジャー」とは、吉野家とガスト、ケンタッキーフライドチキン、モスバーガー、松屋の外食チェーン5社のコラボ企画。吉野家の公式ツイッターアカウントの投稿をきっかけに7月に結成された戦隊もののキャラクターだ。

吉野家社内でボツになろうとしていた企画が、ライバルの松屋も参加する形で成立したことが、ツイッターを中心に大きな話題を読んだ。俳優の山田孝之さんがフェイスブックで「競合競合言ってる人達よ、これを見よ。相乗効果だといつも言っているでしょう。取り合うのは場所じゃなく、手と手。」と称賛。テレビ番組でも大きな注目を集めた。11月29日のイイニクの日には「#ニクレンジャーオールスターズ」という企画でさらに多数の企業が参加した。

WOMJアワードの受賞式には5社の担当者が登壇し、ニクレンジャー結成の裏話を披露した。そのなかで最も興味深かったのが今回のコラボ企画は、ほとんどの企業が事後承認に近い形で実施していたことだ。

ツイッターなどSNS(交流サイト)公式アカウントの運営は、企業文化によってその運営方法は異なる。投稿の事前確認が必要だったり、上司や関連部署の承認を得たりしないと、投稿できない企業は少なくない。外部とのコラボ企画となると、当然ややこしい決裁処理が必要になる企業も多いだろう。

全国チェーンの担当者がある意味リスクを取り、事後承認でコラボ企画を進めていたというのは、とてもすごいことだ。成功する公式アカウント運営の重要なポイントとも言えるだろう。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

ソーシャルメディアの普及もあり、リアルタイムマーケティングという言葉も聞かれるようになった。企業と消費者のコミュニケーションが、継続的なものになったため、顧客が求めている情報を適切なタイミングで発信することが重要になっている。

従来のマスキャンペーン型の広告は、用意周到に計画して実施をするのが当然だった。だが、ツイッターのようなSNSで注目されている話題に対応していくためには、ある程度のスピード感が必要だ。

その意味で、今回のコラボ企画が外食チェーン5社による企画という点は興味深い。

ツイッターでの接客と、店頭での接客が同じと考えれば、部下が会社を代表して接客できると経営者や上司が信じている企業だからこそ、事後承認を許容できているのかもしれない。

[日経MJ2018年11月30日付]

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