2019年5月24日(金)

大学は「知の共有化」を進め質を高めよ

2018/11/28 23:08
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日本の大学が目指すべきは学生や教員の流動化による質の向上だ。大学間の単位互換など連携を通じて知を共有化し、いかに社会に貢献するか。「自前主義」を前提にした大学設置基準など関連法規の抜本改正が急務だ。

文部科学相の諮問機関、中央教育審議会が20年後を見据えた大学の将来構想の答申をまとめた。

柱の一つは内部組織の見直しだ。学部や学科といった文系・理系縦割りの組織に、予算や教員、学生定員を割り振る旧来の大学経営から、脱皮するよう促した。

激変する社会を見据え、学生にどんな知識や能力を獲得させるべきなのか。その目標に向かって、どの単位を組み合わせ、履修させるのが最適か。大学が企業や行政を含む社会とともに構想する道筋を示した。

学部などの枠を超えて、学びの集大成である「学位」の課程(プログラム)のもとに定員や教員を再配置するイメージだ。

これは産業界の要請に応えた形だ。経団連は、人工知能(AI)などの先端技術を社会で活用する際の課題の解決には「文理融合」の学びによる高度な人材の育成が必要だ、と提言していた。

もう一つは他大学との連携や統合だ。一つの国立大学法人が複数大を経営する制度や、国公私立の枠組みを超えた一体運営などを例示した。少子化で2040年の大学進学者は今より約12万人減る。規模の適正化は喫緊の課題だ。

だが、連携や統合を定員の調整手段にとどめてはならない。知の共有化を通して人材育成に貢献する視点が大切だ。

たとえば「先端技術と法」を学ぶ文系の学生が検索エンジンのアルゴリズムなど情報工学を他大学で履修する。金融工学の専門家を目指す理系学生が単位互換で経済学や統計学を履修できる。そんな学習者本位の仕組みが必要だ。

こうした取り組みで成果を上げた大学に予算や定員を積み増す政策誘導も課題となろう。

日本では、一つの大学が4年間学生を囲い込み、授業料の見返りに諸外国に比べ緩い審査で学位を与えてきた。企業の新卒一括採用の慣行と相まって、学生が何を学んだかより卒業校のブランドが重視される風潮を生んだ。

海外の大学を含めた学生や教員の流動化には評価の厳格化も不可欠だ。学びの履歴や質を重視する社会に変える契機にしたい。

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