2019年6月17日(月)

効果的な日本の安全保障へ議論尽くせ

2018/11/27 23:14
保存
共有
印刷
その他

国際環境が変化するなか、日本の「守り」をどう強めていくか。防衛政策の指針となる防衛計画の大綱と、向こう5年間の予算総額や装備品を記す中期防衛力整備計画の改定作業が本格化している。中長期的な安全保障のための大事な時期となる。

論点のひとつは、日本周辺の脅威への対応だ。米朝首脳会談が開かれ、日中関係も改善の兆しがみえる。一時の緊張は和らいだが、軍事力の近代化や脅威の多様化で「アジア太平洋地域の安保の課題や不安定要因はより深刻化」(防衛白書)している。

日本のほぼ全域を射程に収める中距離の弾道ミサイル数百発を含め、北朝鮮は既存の核・ミサイルを全く手放していない。中国は航空母艦や潜水艦、次世代戦闘機といった海・空戦力を急速に拡大している。潜在的な脅威への備えは常に怠ってはいけない。

宇宙、サイバー分野など新たな脅威への対処も課題となる。北朝鮮が昨年9月の核実験の際に、高空での核爆発でつくりだす強力な電磁波で通信や電子機器などのインフラを壊す電磁パルス(EMP)攻撃をちかつかせて威嚇したのは、記憶に新しい。

自民、公明両党の防衛大綱見直しに向けた作業部会の初会合で、防衛費が大幅に増えざるを得ないとの声が出た。脅威の対象や空間の広がりに応じて新規の予算措置がいるにしても、限られた財源の中で何を重視し何を削るのか、精査を徹底してほしい。

歳出が増える要因のひとつは、米国から巨額の防衛装備品を調達するためだ。トランプ大統領は対日貿易赤字を問題視し、日本に購入を拡大するよう迫っている。日米同盟への配慮は必要だが、大きな買い物に見合う効果を吟味することも欠かせない。

安倍晋三首相は自衛隊幹部らに「これまでの延長線上ではなく、大局観ある大胆な発想で考え抜いてほしい」と指示した。護衛艦の空母への改修の是非や次期戦闘機の開発のあり方、「専守防衛」の理念との整合性なども、この機会に議論を深めたい。

宇宙・サイバー防衛などに陸海空の各自衛隊が横断的に対応する「クロス・ドメイン」について、与党会合で「日本語でわかりやすくすべきだ」との注文がついた。防衛は巨費がかかるわりに実態がみえにくい。国民にわかりやすく説明することも重要である。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報