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平成の財政運営に猛省を促す財制審建議

財政制度等審議会(榊原定征会長)が麻生太郎財務相に建議書を提出した。2019年度の予算編成にあたり、歳出への規律強化を求めたのは例年通りだが、平成最後の建議になったのを踏まえ、総論でこの間の財政運営を振り返ったのが特筆に値する。

その要諦は「健全化どころか、一段と財政を悪化させてしまった平成時代の過ちを二度と繰り返してはならない」と、政策の失敗を率直に認めた点である。

増税などの国民負担を先送りしながら歳出抑制に消極的な与党、それを許した財務省をはじめとする官僚組織、さらにはそのような政治家を支持した有権者に猛省を促すものと評価できる。

ポスト平成に向け、本物の財政再建に踏み出すべく、とりわけ政治の意志を厳しく問いたい。

1989年度(平成元年度)の消費税導入後、バブル経済の恩恵もあって翌90年度の予算編成では赤字国債から脱却した。にもかかわらず平成の終わりに債務残高の国内総生産に対する比率は第2次世界大戦末期なみに累増した。

その要因について建議は、税財源で賄うべき社会保障費を赤字国債の発行を通じて将来世代につけ回しし、負担と受益の関係が断ち切られたと指摘している。

歳入面では、景気対策として所得税・法人税の制度減税を重ねたことをあげた。90年代の深刻な金融危機やデフレ不況の長期化を考えれば、制度減税の意義を一概に否定はできない。

しかし「国・地方を通じ負担と受益の乖離(かいり)がいたずらに拡大し、税財政運営がゆがんだ圧力にあらがいきれなかった」事実は受け止めねばなるまい。

また政策決定に責任を負うすべてに対し「財政健全化に奇策はない」と根拠に基づく政策運営を求め、財制審の役割として「現世代とともに将来の納税者の代理人でありたい」との決意を示した。

選挙で一票を投じられない子供や将来世代の利害を考えた政策運営の大切さは言うまでもない。

各論では、(1)公的健康保険が利く範囲の見直し(2)高齢者医療や介護保険の利用者負担の改革――などを求めている。地方財政についても、自治体に社会保障費の抑制に努めるよう促した。

与野党の政治家はぜひ建議に目を通し、来し方を真摯に振り返りつつ、ポスト平成の財政運営に対する責任を自覚してほしい。

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