2018年11月18日(日)

春秋

春秋
2018/11/10付
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いままでにない移動手段を開発しよう。そう考えたスズキは米シリコンバレーに開発拠点を設け、3人の若手社員を送り出した。的は高齢者。チームの一人、ラジャ・ゴピナートさんは当初、自動運転型の車いすなどを想定していたという。しかし、もくろみは外れた。

▼街頭取材で知った高齢者の本音は「車いすは嫌い」。足腰が弱り、寝たきりが近づく。だから、できるだけ自分の足で歩きたい――。試行錯誤の末にたどり着いた試作機は、買い物かごを載せられる電動の手押し車だ。体を預ければ歩くのが楽に。ちょっとした操作で車いすに変わるため、帰り道を気にせず足をのばせる。

▼この試作機をはじめ、ユニークな発想で開発された福祉機器が並ぶ「超福祉展」が現在、東京・渋谷で開催中だ。視覚障害者が肩に載せる小型カメラも一例。たとえば横断歩道を渡るときに映像をネットで転送し、自宅の家族などから指示を仰ぐのに使うという。カラフルで軽いつえなど、デザインを工夫したものも多い。

▼どれも爆発的に売れるというものではあるまい。だからこそ、逆に開発者の熱意と志を感じさせる。主催も出展も中心は企業やNPOなどの民間事業者だ。毎年秋に開催し今年が5回目となる。回を追い1万人ずつ来場者が増え、昨年は1週間で5万人が訪れたという。福祉のイノベーションに企業の果たす役割は大きい。

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