一人っ子政策とは 中国、「産み分け」や無戸籍も生む
きょうのことば
▼一人っ子政策 中国共産党が1980年ごろに導入した人口抑制策。夫婦1組の子供の数を1人に制限する。主に都市部で実施され、労働力を必要とする農村部や少数民族地区では適用しなかった。政策を導入した当時は「中国の人口は2050年に40億人まで増える」との調査が発表され、まだ世界の最貧国だった中国では人口増加による食料不足への懸念が強かった。

人口抑制の効果はあった。一人っ子政策を始めた当時、1人の女性が生涯に何人の子供を産むかを示す合計特殊出生率は2.7程度あったが、2000年には1.22まで急低下した。政策をどう実施するかは地域差が大きく、一般に中国の北部は厳格に実行したとされる。2人目の子供を産むと多額の罰金を科せられたり、職場での昇進が遅れたりした。
一人っ子政策は15年10月に撤廃を決めたが、多くの副作用を残した。後継ぎになる男の子を欲しがる家庭が多いために「産み分け」が横行し、若年層は男性の数が女性を大きく上回る。
産まれても親が役所に届けず、戸籍を持たない子供も多かったとされる。