2018年11月21日(水)

いま戦間期の歴史に学ぶこと

社説
2018/11/10付
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第1次世界大戦の終結100年にあたり11日、米欧やロシアなどの首脳がパリに集まり記念式典を開く。この機会に、悲惨な戦争を経験した世界がなぜ安定した平和を築けず、次の世界大戦を防げなかったのか、いまにつながる教訓を考えたい。

初の総力戦と呼ばれる第1次大戦は戦車や飛行機、毒ガスが新兵器として登場し、膨大な犠牲者を出した。戦後の1920年には、崩壊した国際秩序を立て直そうとウィルソン米大統領の提唱で現在の国連の前身にあたる国際連盟が創設された。

しかし、当の米国が議会の反対で加盟を見送った連盟は国際秩序を維持する役割を果たせなかった。中国への軍事進出を強めた日本は33年に脱退を通告している。

29年の世界恐慌を機に自国経済を守るための保護主義と貿易ブロック化が進んだ。不安定化した世界は、独裁者率いるドイツが2度目の大戦の口火を切り泥沼化するのを避けることができなかった。

自国優先の行動が吹き荒れた戦間期の状況をいまの世界に重ね、類似性を警告する声が聞かれる。当時とは事情も程度も異なるものの、危険な兆候があれば見過ごしてはならない。

第2次大戦後には国連や国際通貨基金(IMF)のような多国間の枠組みが米主導で築かれた。欧州では平和と繁栄のために地域統合が進み、欧州連合(EU)が生まれた。その原動力はドイツと隣国フランスによる和解と協力だ。

メルケル独首相とマクロン仏大統領はいま、多国間主義の重視で足並みをそろえるが、米国第一を唱え独自路線を強行するトランプ米大統領との隔たりは広がるばかりだ。戦後の国際秩序に修正を求めるかのような中国やロシアの動きも国際社会を揺さぶる。

協調より自国優先に走る身勝手な風潮が広がれば世界の安定は危険にさらされる。歴史が示すこの教訓に学び、健全な国際秩序の維持と強化に力を尽くすことは日本の責務でもある。

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