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欧米メディア、脱「広告依存」急ぐ 購読制や寄付 注目集める

先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

NIKKEI MJ

先ごろ発表された2018年4~6月期決算で、フェイスブック、グーグル、アマゾンは、いずれも広告収入が前年同期比で2割以上の増収となった。米国内のデジタル広告支出の6割強をこの3社が占める。デジタル広告の寡占化が、なおも堅固なことを示す結果だ。広告市場の過半をほんの一握りの大手テクノロジー企業に独占されては、ほかのIT(情報技術)企業が広告以外に目を向けるのは当然だ。デジタル広告に依存しない経営を、多くのメディア企業が模索する。

中でも最も注目されるのが、「サブスクリプション」(購読制)なのはご存じの通りだ。読者から直接、かつ継続的な支払いを得られれば、メディア経営は安定する。過度に扇情的な見出しを付して記事を大量生産といった悪弊からも脱けだせる。

しかし、消費者の懐に直結するだけに、獲得は容易ではない。「トランプ景気」も寄与して好調な「ニューヨーク・タイムズ」は18年、デジタル収入が6億ドルに到達する勢いだが、うち約2億ドルは広告収入だ。20年までにデジタル収入8億ドルという目標達成には、読者からの直接対価の上乗せが必須だ。

ニューヨーク・タイムズが大きな収入源として力を入れるのが、デジタル「クロスワードパズル」だ。現在40万人が利用する。月額約7ドルで使い放題の購読型が基本だ。

イギリスの老舗メディア「ザ・ガーディアン」は、デジタルを含む90万人超の購読収入が、広告収入を上回るところまできた。興味深いのは、購読料以外に「寄付金」を積極的に呼びかけているところだ。「1回限り」に加え、月額や年額など各種のタイプを用意する。関係者によれば、購読料の成長余地には国境という限界があるが、寄付に国境はないという。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

同じくイギリスの「ザ・インディペンデント」は、紙面を模したアプリを購読制で提供してきたが、新たにメンバー特典を追加することにした。メンバー限定記事の提供やイベントへの無料招待やコメント機能、さらにサイトやアプリでの広告の非表示を材料に上乗せを図る。

広告の非表示と引き換えに、購読を求めるアプローチは、熱心な読者には魅力的だろう。無料メディアでは、広告満載で記事が読みにくくなり、さらに広告表示に引っ張られ、記事の表示も遅くなることが知られている。記事を数多く読みたい読者ほどこれを嫌う。

購読制を採用する優良メディアから記事を集め、定額読み放題と広告非表示を打ち出すアプリ「スクロール」が、19年にサービス開始との計画だけで、すでに1000万ドルの資金を調達した。

面白いのは、「バズフィード」米国版だ。独自の広告路線を誇ってきたが、最近ではさまざまな広告を試す一方で、非広告収入の開発にも熱心だ。メンバー制の「ブッククラブ」で書籍を割引販売したり、料理動画と連動して料理器具の販売を試みたりしている。

「収入源の多角化」戦略は、バズフィードだけでなく多くのメディアにとっても求められる方向だろう。広告への過度な依存が進めば、社会問題を引き起こすほどの質の劣化などにつながるからだ。

[日経MJ2018年11月11日付]

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