2018年11月20日(火)

東海原発は避難対策を尽くせ

社説
2018/11/9付
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日本原子力発電の東海第2原子力発電所(茨城県東海村)について、原子力規制委員会は稼働から40年を超える運転延長を認めた。規制基準に基づく安全審査には9月に合格済みで、これで再稼働に向けた技術的な要件は整った。

しかし、再稼働はなおも見通せない。同原発は首都圏にある唯一の原発で、30キロ圏の住民の人口は96万人に及ぶ。大事故が起きた際、高齢者や病人らは安全に避難できるのか。人口が密集する市街地で混乱を防ぐには何が必要か。住民に安全に避難してもらう計画づくりは道半ばだ。

再稼働には周辺の自治体の同意を得ることが必須だ。水戸市や那珂市など6つの市村は今年3月、東海第2の再稼働には「実質的な事前了解が必要」とする安全協定を結んだ。原発が立地する市町村や県などに加え、近隣の市町村まで対象にしたのは初めてだ。

だが、那珂市の海野徹市長は、住民の安全な避難が難しいとして再稼働に反対する意向を示している。日本原電はまず、周辺自治体による避難計画づくりに全面的に協力し、地元の不安を拭うことが欠かせない。

東海第2は1978年に運転を始め、2011年の東日本大震災では津波の被害を受けた。震災後、原発の運転は原則40年間と定められ、延長には特別な審査が必要になった。日本原電は防潮堤の建設など安全対策をまとめ、今月末の期限ぎりぎりで認可を得た。

規制委の基準や延長審査は安全を守る最低限の条件といえる。日本原電は気を緩めずにさらに対策を積み上げ、基準を上回る安全性を確保すべきだ。それが地元の理解を得る一助にもなるはずだ。

日本原電は大手電力各社が出資し、つくった電気を電力会社に売る卸売り専業会社だ。同社の原発2基のうち敦賀2号機(福井県敦賀市)は再稼働の見通しが立たず、東海第2の再稼働の可否が経営を左右する。事業形態がこのままでよいのか。電力業界を中心に再考する必要もあるだろう。

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