ライドシェアのリフト ウーバー混乱 尻目に猛追
読み解き 今コレ!アプリ フラー最高マーケティング責任者、杉山信弘

2018/11/10 6:30
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NIKKEI MJ

ピッチブックが10月24日に米国の未公開テック企業の価値ランキングを公表した。インスタカート、ピンタレスト、リフト、エアビーアンドビー、ウーバーテクノロジーズなど上位トップ10位内の半数以上がスマートフォン(スマホ)アプリをビジネスの主軸に絡めた企業だった。なかでもウーバーとリフトは、ライドシェアビジネスで世界の市場を席巻している。

筆者が所属するフラーが手がけるアプリ分析プラットフォーム「AppApe(アップエイプ)」で算出したアプリ利用データによると、ウーバーとリフトは米国でのアクティブユーザー数が拮抗しつつある。2017年11月時点では、ウーバーのMAU(月間利用者数)が1090万人弱で、リフトは同380万人と大きく差が開いていた。最近はウーバーの約1340万人に対して、リフトは1110万人と差は縮まっている。

スマホ内にアプリを入れている所持ユーザーの数ではウーバーが約4900万人で、リフトは約2270万人と差が開いている。MAUと所持ユーザー数のデータから、リフトによるアプリ利用の促進策が奏功していることがわかる。

直近の大きな施策は10月16日に始まった、回数券型のプランを導入し、利用者は月に299ドルを一括して払うと、15ドルまでの乗車が30回まで利用できる。最大151ドルも得になる計算だ。

ライドシェアはタクシーと競合していると思われがちだが、このプランは自家用車を通勤に利用している層をターゲットとしている。299ドルは高額にも思えるが、月々のガソリン代や駐車場代、保険料などの維持費を勘案すると割安ともいえる。もちろん、運転する必要もない。

社会的な関心事に合わせたプロモーションもリフトは得意だ。米国の"一大行事"である11月6日の中間選挙に合わせ、同日のみ乗車料金が半額になるクーポンコードを配布。フットボールの試合に合わせて、帰りに飲酒運転をさせないようプロモーションコードを発行するなど、社会問題にアプローチしつつ、知名度をあげる施策を次々と打ち出している。

リフトはウーバーから3年遅れて創業した。その遅れは海外展開などで如実に現れている。しかし、セクハラ問題などで経営が混乱したウーバーに対して、リフトはグーグルから10億ドルの出資を受けるなど、好調を維持しているように見える。

日本市場を巡っては、中国の滴滴出行やウーバーといった海外企業が配車サービスなどで進出している。リフトは現在、日本進出のパートナーを探しているとされる。マーケティングのノウハウなどにも長じたリフトがどのような形で日本に進出するか、注目だ。

[日経MJ2018年11月7日付]

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