2019年2月19日(火)

自律が試される仮想通貨業界

2018/11/4 22:02
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果たしてこの業界は自らを律し、傷ついた信用を取り戻すことができるのか。実効性と実行力が厳しく問われよう。

仮想通貨取引の健全な発展を目指す自主規制機関「日本仮想通貨交換業協会」が、16社の登録交換事業者を会員として金融庁の認可を得た。策定した自主規制ルールを適用し、違反した会員を処分する強制力を備える。

仮想通貨は金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックの一角だ。次々と表面化する新たな問題への対処は法令だけでは追いつかない。業界が独自に詳細なルールを定め、金融庁の検査・監督を補完する方向性は正しい。だが自主ルールには不断の見直しが要る。課題は大きく3つある。

第一は、利用者保護の徹底だ。ネット上で流通する仮想通貨が、あの手この手のハッキングの標的になるのは半ば宿命だ。これまで仮想通貨の流出事件が相次いできた。安全対策の継続的な強化やノウハウの共有が欠かせない。

2つ目は、透明性の確保だ。価格変動が激しい仮想通貨を取引するのは、投資家の自己責任が原則である。一方、取引仲介のインフラである交換業者の財務諸表などの情報公開は物足りない。潜在リスクを隠し、射幸心をあおる広告やサービスの制限も必要だ。

3つ目が、国際的な懸案であるテロ資金や脱税などマネーロンダリング(資金洗浄)対策だ。利用者を増やすことを優先し、本人確認をおろそかにした収益拡大策は認められない。詐欺や資産隠しの温床となりうる新種の仮想通貨を取り扱う是非も焦点になろう。

新たな自主規制機関の陣容はまだ20人ほどだ。一方、仮想通貨ビジネスへの新規参入を目指す企業は少なくとも50社ある。実効性のある監視体制の整備が急務だ。

半数近い登録交換業者が金融庁処分の対象となるほど、この業界は未熟だ。厳しい視線を肝に銘じて信用回復に取り組まなければ、仮想通貨は有用なフィンテックとしての評価は得られない。

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