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春秋

奈良にクレコスという化粧品会社がある。農家が耕作放棄地を再生し自然栽培した茶葉などを仕入れて、原料に使う。加工やパッケージ生産に、社会福祉法人などを通じ障害者や高齢者の力を生かす。こうした経営姿勢が消費者の心をとらえ、売り上げをのばしている。

▼本業であるものづくりで社会問題の解決に一役買おう。そう考える企業が増え支持を集めている。3年ほど前に出版された「その商品は人を幸せにするか」(中間大維著、ファーストプレス)にはクレコスをはじめ、有機食品を開発する大手小売業や廃材でバッグを作るメーカーなどが次々に登場し、広がりを実感できる。

▼学校で環境教育が定着し、家でもネットで途上国など産地の状況が手軽に見られる。そのため若い世代ほど商品の作られた背景に目を配る傾向が強いという。著者の中間さんは一橋大から東大大学院を経て花王に入社。社会派のものづくりを応援しようと会社を辞め、専門通販サイトや情報交流のための団体を立ち上げた。

▼その中間さんが病で亡くなった。享年43。世間ではまだ無名だが、日本に新たなビジネス文化を生み出す挑戦者の一人だった。献花台の長い列に若者が目立ったのは後進の人々に慕われた証拠か。香典返しはフェアトレード(公正貿易)のコーヒーと有機栽培の紅茶。最期の時も途上国の農家と私たちをつなげ、旅立った。

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