2019年6月16日(日)

バイト時給千円時代を乗り切るには

2018/11/3 20:22
保存
共有
印刷
その他

アルバイトの全国平均時給が43カ月連続で前年同月を上回り、水準が最も低い飲食業でも千円台に乗せた。賃金の上昇が流通サービス業に事業モデルの変革を迫っている。

吉野家ホールディングスは人件費の負担が重荷になり、2019年2月期の連結決算で6期ぶりの最終赤字を予想する。セブン&アイ・ホールディングスも人手不足の影響で、18年3~8月期の国内コンビニ事業が減益となった。

人手を確保するために企業は時給を引き上げてきた。だが、人件費が収益を圧迫し、中小企業では需要はあるのに事業継続が危ぶまれる例も出てきた。

政府が進める外国人労働者の受け入れ拡大策で人手不足をまかないきれるわけではない。新設する在留資格は流通サービス業全体を対象にしていないからだ。

企業が今いる人員で負担増を吸収しようとしても限界がある。少人数でも無理なくサービスを提供できる仕組みづくりへと発想を転じるべきだ。

まずは省力化の徹底が欠かせない。仕事の中身をつぶさに点検すれば、従業員が手をかけなくてもよいサービスを洗い出せる。小売りや外食では支払いを自動化したり、配膳などをセルフサービスにしたりする余地はまだある。

有人の深夜営業も本当に必要だろうか。ニッポンレンタカーサービスは深夜や早朝に人を置くのをやめ、無人のカーシェアリングに切り替える。ガソリンスタンドではセルフ式が根づいた。対面の接客がなくても、やり方次第でサービスの品質を保つことはできる。

ファミリーレストランが深夜営業を縮小し、宅配サービス業では休日配送を見直す動きがある。コンビニも原則24時間営業を再考してはどうか。タクシーやバスには深夜料金がある。小売業が深夜サービスの対価を求めるという考え方があってもよい。

米国や中国で始まった無人の小売店は将来的には有望だが、サービスの質にこだわる日本の消費者を満足させるには膨大なシステム投資がかかる。日本が技術力で優れる自動販売機を使った無人店舗にも目を向けたい。

人手不足の問題を甘く見れば、従業員の過労死を招くなど経営にとって深刻な事態につながりかねない。サービスの提供方法を徹底的に研ぎ澄ませた企業だけが、時給千円時代を生き残れる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報