多様な南海地震にどう備える

2018/11/3 1:06
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西日本の太平洋沿岸で想定される南海トラフ地震について、中央防災会議が防災対応の見直しを検討している。震源域の東西どちらか半分でマグニチュード(M)8級地震が起きた場合、地震がまだ起きていない残りの地域でも住民に避難を促す案が固まった。

政府が想定する南海トラフ地震は日向灘から駿河湾にかけて発生するM9級の巨大地震だ。だが地震がこの通りに起きるとは限らない。1944年にはトラフ東側で東南海地震が起き、西側で南海地震が起きたのは2年後だった。

逆に、西の日向灘で地震が先行したり、震源域の一部でM7級が起きたりする可能性も指摘されている。政府はまず、これらの「半割れ」や「一部割れ」がありうることを自治体や住民、企業などに丁寧に説明する必要がある。

中央防災会議が防災対応の見直しに動いたのは、南海トラフの一部である駿河湾で想定される東海地震の防災対策を全面的に転換したことによる。

東海地震対策は1978年制定の大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づいてきた。気象庁が前兆をみつけて地震を予知し、首相が警戒宣言を出して鉄道などを止め、被害を減らすとした。

しかし、2011年の東日本大震災後、予知の困難さがはっきりし、政府は17年11月に首相が警戒宣言を出す方式をやめた。代わって、トラフ周辺で何らかの異常が観測された場合に気象庁が臨時情報を出すことにした。

南海トラフ地震は起こり方が多様なうえ、観測された異常が地震にどうつながるかも不確実な点が多い。気象庁の情報をもとに、どんな対策をとるべきか、自治体や住民らの戸惑いは大きい。

不安に応えるため国がおおまかな指針を定めておくのは妥当だろう。ただ、津波や揺れによる被害は地域によって大きく異なる。減災のためには、国が事細かに指針をつくるのは避け、自治体や住民、企業の自発的な対策づくりを後押しすることが大事だ。

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