2018年12月11日(火)

桜島望む名君の庭園 仙巌園(鹿児島市)
おもてなし 魅せどころ

コラム(ビジネス)
九州・沖縄
2018/11/5付
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NIKKEI MJ

明治維新150年の今年、大河ドラマ「西郷どん」の放映も追い風となって観光客でにぎわう鹿児島市。中でも人気を集めるのが仙巌園だ。錦江湾を池、桜島を築山に見立てた雄大な日本庭園などを堪能しようと、国内はもとより、インバウンド(訪日外国人)も数多く訪れている。

錦江湾や桜島を池と築山に見立てた日本庭園が訪日客にも人気

錦江湾や桜島を池と築山に見立てた日本庭園が訪日客にも人気

鹿児島市の玄関口、JR鹿児島中央駅から車で20分程度。海岸線近くまで押し寄せる山々を縫うように東西に広がる仙巌園は1658年(万治元年)に島津氏19代目で薩摩藩の2代目藩主、島津光久が築いた別邸だ。敷地内にある御殿は歴代藩主に引き継がれ、1884年に改築された部屋などが現存する。

4週間かけ日本中を巡っているチェコの女性は「伝統的な場所では日光も訪れたが日本式の庭園は初めて。景色がすばらしい」と満足げ。御殿や桜島の借景などを写真に収めていた。

もう一つの魅力が、日本の近代化の原点となる遺構だ。西郷隆盛を見いだすなど幕末の名君の一人に数えられる島津斉彬は海防体制の強化のため、西欧の科学技術を積極的に導入。この地に反射炉やガラス工場などの工場群を建設した。

集成館事業と呼ぶ取り組みは2015年に「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録された。仙巌園の隣に建つ1865年竣工の機械工場は構成資産の一つで、博物館「尚古集成館」として公開され、庭園内には構成資産の「反射炉跡」も残る。

施設を運営する島津興業(鹿児島市)は昨年、施設の大規模改装に乗り出した。園内のレストランの座席数をほぼ半減してゆったりとした空間を作り、時間を決めていたツアー形式の御殿見学も変更。座敷に座り、かつて藩主が庭園を眺めたのと同じ体験ができるようにソフト面でも工夫を凝らす。

今年の観光客数は例年の45万人を大幅に上回り、70万人に達する見込み。訪日客の比率は3割程度に上昇しており、国内客の追い風がやむ来年以降にさらに拡大を狙っている。

外国人向けホームページの作成などを担当する英国人のアレックス・ブラッドショーさんは「欧米豪の観光客はニセモノに敏感。日本人が好む内容を作って説明すれば、長いスパンでインバウンドに対応できる」と指摘する。アジア主体から欧米豪にも顧客層を広げようと取り組んでいる。

(鹿児島支局長 久保田泰司)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2018年11月5日付]

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