2018年11月13日(火)

農業従事者 SNSを活用 フラットな議論 メリット
奔流eビジネス (アジャイルメディア・ネットワーク取締役 徳力基彦氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2018/11/2付
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NIKKEI MJ

「コミュニティリーダーズサミット」というイベントが10月に高知市で開催された。高齢化や少子化などの課題先進地域である高知で、課題解決につながる流れをつくり出す場として開催。全国からリーダーとしてコミュニティを運営している人たちが集まった。筆者も高知出身の坂本龍馬を軸に、幕末と現在のコミュニティの共通点を探るというテーマのモデレーターとして参加した。そのなかで、非常に興味深い取り組みがあったので紹介したい。

「コミュニティリーダーズサミット」では農業などのテーマが議論された

「コミュニティリーダーズサミット」では農業などのテーマが議論された

その名も「FB農業者倶楽部」。フェイスブック上で運営されている農業従事者のためのコミュニティだ。

このコミュニティが設立されたのは2012年7月。宮崎県の上水農園で農業を営む上水広志さんが個人で開設し、現在のメンバー数は5700人を超える。農業関係者がメンバーの99%を占め、農業従事者が7割を占めている。

コミュニティが開設された12年は、まだフェイスブックの黎明(れいめい)期。同年の新語・流行語大賞に「いいね!」がノミネートされたぐらいの時期だから、今よりも農業従事者のフェイスブック利用率は低かったはずだ。

上水さんは、友達や友達の友達の中から、フェイスブックのプロフィルの文章や画像を元に農業従事者を探し、コミュニティに誘ったという。最初の1年で1000人を突破し、翌年から宮崎や北海道でオフ会を開催。15年2月からは農水省との意見交換会を毎年開くまでになった。

FB農業者倶楽部の面白いのは、農業の未来を真剣に考えている人が年齢や肩書に関係なく参加しているところだ。地域ごとの意見交換であれば、陳情を議論したり、地元での上下関係などが議論の壁になったりしがちだ。フェイスブック上のコミュニティでは参加者全員がフラットな関係にあり、既存の組織の壁を越えた交流ができることに大きなメリットを感じているのだという。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

個人的に刺激を受けたのは、このコミュニティの発起人である上水さんが60代という点だ。

農業従事者の間では60代は中堅であり、場合によっては若手と言えてしまう状況もあるという。日本企業では40~50代でもまだSNS(交流サイト)やソーシャルメディアを自分とは関係ないと思っている人が、経営者はおろか管理職にも多いように感じる。

先日、経団連史上初めて会長室にパソコンが設置されたというニュースがインターネット上で大きな話題になっていた。あくまで歴代の経団連会長がパソコンを使えなかったというのは誤解で、経団連内部での連絡が紙や電話が中心だったということらしい。日本にまだまだソーシャルメディアどころかメールを使わない組織も多く存在するのも事実だろう。

ただ、本来はFB農業者倶楽部の事例のようにIT(情報技術)やネットと縁遠そうな業界の人ほど、使いこなした時のメリットが大きい可能性があるとも言えるのだ。

もし日経MJ読者諸氏がいまだにソーシャルメディアを食わず嫌いで使ってないのであれば、ぜひ一度は試しに使ってみてはいかがだろうか。

[日経MJ2018年11月2日付]

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