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春秋

ソウルの大型書店には、日本の小説やビジネス本があふれている。街を歩けば居酒屋あり、ラーメンやカレーライスの専門店あり、おなじみのB級グルメが競い合う。若者たちのあいだでは日本のアニメや音楽が人気だ。最近の韓国は「日流」ブームの真っ最中である。

▼昨年の訪日客は714万人、今年は800万人を超えるという。国民の6~7人に1人は日本に旅行している計算だ。だから日流ブームにも拍車がかかるわけだが、不思議なことに、韓国にはまったく異なる観念が同居している。話が歴史や領土問題に及ぶや、およそ日本人が理解できない硬直的な反応があらわれるのだ。

▼第2次大戦中の徴用工が新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判で、きのう韓国の大法院は請求を認める判決を出した。この件は1965年の請求権協定によって解決済み、かつては韓国側も同意していた……はずだがこんな判断が下るとは理外の理、法外の法だろうか。戦後の日韓関係を大きく揺さぶる事態にため息が出る。

▼ことの深刻さを、日流ブームを楽しむ韓国の人々にも気づいてもらいたいものだ。昨今は日本でも、韓国のあれこれに関心を寄せる新・韓流ブームが芽生えているのに、それだって台無しになりかねない。文化交流や市民の往来と政治はあくまで別――。残念ながらそうは割り切れぬ現実が、日韓の通路に横たわっている。

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