マネロン対策の再点検を急げ

2018/10/29 0:47
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マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金対策を審査する国際組織、金融活動作業部会(FATF、本部パリ)が2019年秋、日本を立ち入り検査する。金融庁と金融界はむこう1年の間に対策を再点検して抜け穴をふさぎ、汚名を払拭する契機にすべきだ。

FATFは主要国の金融当局や法曹界が専門家を派遣し、マネロン対策を相互監視する。対日審査は08年以来、今回が4回目だ。

前回の3次審査で日本は法制上の不備を厳しく指摘され「先進国なのにマネロンに甘い」というレッテルを貼られた。その後、立法措置は進めてきたが、来年の審査でFATFは、さらに金融機関の実務面の対応もみる。

金融庁が最も危機感を強めているのが地方銀行や信用金庫のマネロン対策の脆弱性だ。

手口が巧妙化しているのに、人員や経験が不足して本人確認や送金目的のチェックがおろそかとなり、違法送金を許した例が表面化している。もしシステムの導入などコスト面で対応が追いつかないのであれば、海外送金を取り扱う拠点を絞らざるをえまい。

地銀などが受け付けた送金は主に大手銀が仲介し、海外銀行につなぐ。おのずと3メガバンクの役割も重大だ。地域金融機関への送金先のブラックリストの提供や、口座をもたない現金による送金依頼には慎重に対応する、といったノウハウをきめ細かく共有する必要がある。

中小企業の海外取引や外国人居住者の増加に伴い送金需要は地方でも強まっている。日本発の違法送金を水際で食い止めなければ、国際金融市場でメガ銀自身の信頼が失墜することになる。なかでも国際テロや麻薬組織の標的となっている米国の司法当局は、たびたび厳しい制裁金を科してきた。

近年のマネロンの経路は銀行経由にとどまらない。例えばネット上で流通する仮想通貨だ。仮想通貨取引の監視や監督で世界に先行してきた、と自負する金融庁の態勢も審査で問われることになる。

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