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「孫レンタル」米で活況 高齢化社会の隙間埋める

奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

NIKKEI MJ

米国のオンデマンド孫サービス「Papa(パパ)」の運営会社が先日、資金調達した。配車やフードデリバリーなどオンデマンドサービスは活況だ。お届けするものが「孫」というのは、なかなかインパクトがあるサービスではないだろうか。現在はフロリダのみでサービスを提供しているが、来年さらに5つの州に拡大予定とのこと。

高齢化社会の日本でも人気が出そうなサービスなので、その詳細を紹介したい。Papaは一人暮らしのシニアを対象としたサービスだ。孫と言ってもお届けするのは子供ではなく、地元の大学生である。

利用者は孫をアプリ、ウェブサイトまたは電話でリクエストすることができる。家事の手伝いやソーシャルメディアの使い方、病院の送り迎え、ゲームの相手……。様々な使い方が想定されており、サービス内容は限定されていない。利用者をお風呂に入れるといった介護行為はサービスに含まれていない。

もちろん孫を務める大学生は事前に面接と厳密なバックグラウンドチェックを受けている。選考通過率4%とのことだが、600人を超える「孫」が在籍している。利用料金は1時間当たり20ドル、うち12ドルが孫に支払われる。月額30ドルのプレミアム会員になると、ランダムに派遣される孫ではなく、お気に入りの孫を指定できるようになる。

現在はシニア本人が利用する、または遠く離れた家族が孫を派遣するような形でサービスを利用できる。

家事や送迎というと、他のオンデマンドサービスでも事足りそうな内容だ。しかし、実際に利用者と孫のやり取りをウェブサイトの動画で見ると、利用者の少しスローなペースに合わせて孫はゆっくりと対応したり、他愛もないおしゃべりを間に挟んだり、気遣いやふれあいが肝となっているサービスだと感じた。

ウーバー・テクノロジーズなどの自動車オンデマンドは自動運転車や人工知能(AI)などに代替される可能性がある。ただ、Papaが提供する気遣いやふれあいはAIには置き換えられないものではないだろうか。

人との接触頻度が低いと認知症の発症率が57%上昇するという結果もある。長生きのために「人との密なつながり」「孤独感の排除」は非常に有効な手立てである。とはいえ、なかなかつくるのが難しい人間関係。「孫オンデマンド」と聞いて、最初はとっぴなサービスを連想したが、非常に社会的意義の高いサービスだと感じた。お金を介することで、逆に遠慮しすぎず、親密になれるのかもしれない。

昨今はソーシャルメディアの台頭により、広く浅い付き合いが増えている。広く浅いゆえに逆に感じる排他感や孤独感もあるのではないだろうか。Papaのように人と接するぬくもりがあるサービスというのは、シニア層に限らず求められるサービスになるのではないだろうか。

さて、米国から日本への長期帰国のため、しばらく連載をお休みさせていただきます。再開時には改めてよろしくお願いいたします。

[日経MJ2018年10月26日付]

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