2018年11月14日(水)

春秋

春秋
2018/10/23付
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財政の再建で地力をつけた長州や薩摩など西南雄藩の志士たちが、古い体質を変えられない徳川幕府を英雄的な行動で追い詰めた――。幕末から維新の歴史に多くの人が抱くイメージだろうか。「明治」への改元は慶応4年9月8日、西暦で1868年のきょうである。

▼だが、史実を子細にみれば、弾むラグビーのボールを追うかのような志士らの右往左往がある。各地で立派な像になった元勲たちも時には弱気の虫に取りつかれた。ある歴史家は鳥羽伏見での薩長方の勝利を「九回裏の3点差を満塁サヨナラ弾で逆転した」と記す。ワンチャンスを生かした策が奏功したというのであろう。

▼政府はきょう明治150年記念式典を催す。「わが国の歩みを振り返り、未来を切り開く契機とする」とうたっている。旧体制が退場を迫られた時代、何が起き、為政者がどう振る舞ったのか。往時に劣らず激動する今、学んでおくのも大いに参考になろう。評論家の野口武彦さんは明治初期のエッセンスをこうまとめた。

▼「維新の功臣、明治の賊将」「昨日の友は今日の敵」「勝てば官軍」。ざれ言めくが、変革期の混沌や反動の側面を表していよう。長州人を自認する安倍首相も時代を画す大仕事を懐に温めているようである。難事業は一直線に進まず時に激しい痛みも伴う。お国自慢が得意なら先人の覚悟や辛苦、とうに知っていようが。

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