日欧が保護主義の防波堤に

2018/10/19 23:04
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安倍晋三首相がベルギーで開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席し、「自由で公平で開かれたルールに基づく多角的貿易体制を支えていくことが重要だ」と訴えた。トランプ米政権が保護主義的な動きを強めるなか、日本と欧州が国際秩序を守るために果たすべき責任は大きい。

ASEMは1996年に発足し、51カ国と2機関が参加している。首相は会議で(1)世界で広がる保護主義への懸念(2)世界貿易機関(WTO)を中核とした国際体制の強化(3)公海上での「航行の自由」の確保や北朝鮮の核・ミサイル開発の抑止――に重点を置いて発言した。

これに先立ち安倍首相はフランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長らと相次いで会談した。日本とEUの経済連携協定(EPA)の早期発効への協力で一致し、通商や安全保障をめぐって幅広く意見交換した。

「米国第一主義」を掲げるトランプ政権は、最大の貿易赤字国である中国に対する関税や投資規制の強化に動いている。カナダやメキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)も大きく見直した。今後は日欧との直接交渉などを通じて、自国に有利な貿易・投資環境の実現を迫っていく構えだ。

20世紀には主要国が高関税による経済ブロック化に突き進んだ末に、軍事的な対立が深まって第2次世界大戦につながった。その教訓から戦後に少しずつ前進してきた自由貿易を柱とする国際秩序を壊してはならない。

民主主義と法の支配という価値観を共有する日本と欧州各国の連携は、米中両国に自制を求める強いメッセージとなる。

自民党総裁選で連続3選を果たした安倍首相は「戦後外交の総決算」を政権目標とした。日本は来年は20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国を務める。各国とのパイプを生かし、世界を不安定にしないための外交努力と積極的な国際発信が求められている。

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