2018年10月17日(水)

春秋

春秋
2018/10/13付
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「フォークジャンボリー」に行ってきたと自慢する、ませたクラスメートが中学校の教室で大いに注目を浴びたものである。岐阜県中津川市で1971年まで、毎年8月に開かれた大規模な野外コンサートのことだ。長髪、ジーンズ、ギターの若者の聖地だったらしい。

▼記録映像を見るとステージのまわりは騒然として、当時の新宿西口地下広場のフォークゲリラにも似た風景だ。最後の年には、吉田拓郎さんが「人間なんて」を2時間にわたって熱唱したという。胸にたぎるモヤモヤや、世間へのプロテストが曲にこめられていた時代。いま聴いてみればちょっと粗削りな歌も少なくない。

▼そういう空気をがらりと変えたのは松任谷由実さんだろう。気負った自己主張や生活臭を感じさせぬ、オトナの音楽の登場である。70年代半ば、そろそろ成熟しはじめた社会は「中央フリーウェイ」や「ルージュの伝言」の軽やかな物語性にひかれた。ユーミンは以後、バブルを越え世紀をまたいで偶像であり続けている。

▼その人が菊池寛賞に選ばれたと知り、久しぶりにスマホのなかの曲を聴いてみた。いいね、やっぱり……。と思いつつわがリストを眺めれば、往年のフォークの名曲も並んでいる。中島みゆきさんのアルバムもずらり。みんな違ってみんないいと言ったら、八方美人に過ぎるだろうか。あの級友は、いま何を聴いていよう。

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