2018年10月16日(火)

世界経済を支えるG20の覚悟が足りぬ

社説
2018/10/13付
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世界経済の先行きに懸念が広がり、主要国に株安が連鎖した。米中貿易戦争の激化や米長期金利の上昇が引き金で、警戒を怠れない状況になりつつある。

日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)の枠組みは、機能不全に陥ったままだ。世界経済のリスクの封じ込めに、不安が残ると言わざるを得ない。

G20の財務相・中央銀行総裁会議が、インドネシアのバリ島で開かれた。貿易摩擦の解消が必要との認識を共有し、世界経済の安定に努める方針を確認した。

問題はそのための行動である。議長国アルゼンチンのドゥホブネ財務相は貿易摩擦について「G20は議論の場を提供できるが、争いを解決しなければならないのは当事国だ」と突き放した。

株安の直撃を受けたにもかかわらず共同声明を採択せず、米国の金利高や新興国の資金流出への市場の懸念を払拭できなかった。世界経済を支える覚悟が足りないのではないか。

自国優先の保護貿易に突き進み、中国にとりわけ厳しい制裁を科す米国の罪は重い。報復一辺倒で歩み寄りの兆しがみられない中国の姿勢にも問題がある。米中は直ちに対話を再開し、建設的な摩擦回避の方策を探るべきだ。

G20の方も貿易戦争の激化にくさびを打てないのでは、その存在意義が問われる。日本や欧州が中心となって米中に譲歩を迫るとともに、保護貿易の拡散に歯止めをかける努力を続けたい。

米国の景気回復を反映し、長期金利が上昇するのは不自然ではない。米連邦準備理事会(FRB)が景気過熱やインフレの芽を摘むために、緩やかな利上げを継続するのも理解できる。

ただ、米金利の上昇が中国やトルコ、アルゼンチンなどの資金流出に拍車をかけ、世界経済を圧迫するのも事実だ。米国が細心の注意を払って利上げに臨むだけでなく、脆弱性を抱える新興国も経済改革を急ぐ必要がある。

トランプ米大統領が米金利やドル相場の上昇に不満を表明し、FRBの政策運営を公然と批判しているのは問題だ。ただでさえ不安定な市場を混乱させるような発言は厳に慎んでほしい。

イタリアの財政問題や英国の欧州連合(EU)離脱の行方も心配である。G20が政策協調のタガを締め直さないと、世界経済の統治に空白が生じかねない。

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