2018年11月18日(日)

「内憂外患」のフェイスブック 規模と影響 自問すべき
先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2018/10/15付
保存
共有
印刷
その他

NIKKEI MJ

SNS(交流サイト)最大手の米フェイスブックが、2004年の創業以来、最大級の「内憂外患」に見舞われている。

今年9月には2度目の大規模な個人情報の流出を発表した。全世界で5000万人以上に影響が及ぶという。15年にも個人情報の流出が起きており、今年に入って約9000万人に影響が出たと明らかになったばかりだ。

インスタグラムを創業したケヴィン・シストロム氏(右)とマイク・クリーガー氏の辞任は突然だった=ロイター

インスタグラムを創業したケヴィン・シストロム氏(右)とマイク・クリーガー氏の辞任は突然だった=ロイター

流出したデータを利用した政治的な宣伝工作活動が、16年の米大統領選や英国での「ブレグジット」国民投票を巡り行われたとされる。いわゆる「ケンブリッジ・アナリティカ事件」を契機に、米議会ではフェイスブックなどSNS大手への追求がやまない。

フェイスブックは業績面でも曲がり角に直面している。フェイスブックの月間利用者は、22億人を超えるまでに成長したものの、今年に入り、北米および欧州で成長が鈍化、一部地域では利用者を減らした。7月には株価が一時、2割近く下落し、時価総額で13兆円分を1日で失った。

これらを「外患」と呼ぶなら、「内憂」は幹部人材の流出だ。

最大の衝撃は、傘下の「インスタグラム」の創業者であるケヴィン・シストロム氏とマイク・クリーガー氏が突然退任したことだ。9月末に「ニューヨーク・タイムズ」紙が2人の退任を最初に報じた際には、フェイスブックの広報担当者もその事実を知らなかったとされる。

インスタグラムは、若者を中心に月間利用者が10億人を超える人気アプリだ。収益面でも躍進を続けているだけに衝撃は大きい。

2人だけではない。インスタグラムと同様、巨額買収で話題を呼んだメッセンジャーアプリ最大手「ワッツアップ」でも、創業者のジャン・コウム氏とブライアン・アクトン氏が昨年から今年にかけて退任している。同アプリも、月間利用者が15億人と、規模の面からフェイスブックを支える基幹サービスだ。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

フェイスブック本体からも幹部が辞めている。例えば、基幹製品の広報担当だったレイチェル・ウェッツトン氏やパートナー担当幹部のダン・ローズ氏。前最高セキュリティ責任者のアレックス・スタモス氏も重要人物だった。あるメディアは「フェイスブックの出口の回転ドアは回りっぱなし」と評する。

従業員数3万人の大企業から離職者が出るのは不自然ではない。だが、最近の幹部の退任ラッシュで特徴的なのは、退任に際してフェイスブックの経営姿勢や最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏を批判する声が目立つ点だ。

コウム氏は自らの退任をデータ流出と結びつけている。アクトン氏も最近、雑誌の取材でザッカーバーグ氏の振る舞いを難じた。スタモス氏もセキュリティー問題とフェイスブックのビジネス至上主義の弊害を、退任の際の社員あてメールで訴えた。

これらのことで、フェイスブックの経営がすぐに揺らぐわけではないだろう。だが、内外に生じた混乱や厳しい論評から逃れることはたやすいことではない。フェイスブックは高成長をおう歌するだけでなく、その規模と影響において何をなすべきかを問い返すべき時期にある。それは今である。

[日経MJ2018年10月15日付]

「日経MJ」をお手元のデバイスで!

 日経MJではヒット商品の「売れる」理由を徹底リサーチ。売り場戦略から買い手の最新動向まで独自に取材。「日経MJビューアー」を使えば、全てのデバイスで閲覧できるようになります。

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報