2018年12月12日(水)

春秋

2018/10/12 1:18
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今は建築資材のメーカーだが、今後は女性のための生理用ナプキンをつくり、販売する――。この宣言に社内の抵抗は大きく、故郷に帰った社員もいた。ユニ・チャームの創業者である高原慶一朗さんが8年前、本紙に連載した「私の履歴書」で、そう振り返っている。

▼同じ紙製品とはいえ、なじみが薄かったというだけではない。当時の日本では薬局の奥でこっそり売られる「日陰」の商品。テレビCMも自由に流せない。「いわれのない社会通念や古い意識を変える時や」。社員を説得、営業に女性社員を起用し、スーパーで売り場を確保。研ナオコさんの広告でイメージも変えていく。

▼女性の社会進出を先取りし、流れを後押しする気持ちがあった。後に手がけた赤ちゃん向けの紙おむつは育児の負担を減らす。その技術を応用し、「ビジネスというより使命感」から手を広げた大人用の紙おむつには、介護の担い手の負担を軽減させるとともに、高齢者を「寝たきり」にさせまいとの願いを込めたという。

▼値段が手ごろで性能のいい生理用品は、学業や仕事に取り組む女性の味方になる。東南アジアでは手の届く価格に抑えるため、小分けして売ることにしたそうだ。困っている人、声をあげづらい人の悩みをくみ取り、技術と工夫で解消していく。先日、87年の生涯を閉じた高原さんの歩みは、起業家の一つのあり方を示す。

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