2018年12月13日(木)

株安の連鎖が映す世界経済のリスク

2018/10/11 23:13
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米国を起点にした株価の急落が日本を含めた世界の金融・株式市場を揺るがした。10日のニューヨーク市場ではダウ工業株30種平均が前日比831ドル安と大きく下げ、11日の東京市場も日経平均株価の下げ幅が一時1000円を超える場面があった。

株価下落の連鎖は新興国市場にも広がった。中国や韓国、台湾の株価指数も11日、前日比4~6%という下落率になった。

米国株が急落した直接的な要因は、米国内の金利の上昇だ。トランプ大統領による大幅な減税策もあり、失業率が低下し、物価も徐々に上がっている。米景気の強さを反映し、米10年物国債の利回りは3%台に乗せてきた。

ただ、企業にすればこれまで都合のよかった低金利の環境が望めなくなる。そうした警戒感が株安の引き金になった。夏場にかけてハイテク株を中心に株高が急ピッチだったこともあり、一定の調整は不自然ではなかった。

もっとも、株安が米国だけでなく世界に広がったのをみれば、それだけが理由ではないだろう。世界経済を見渡すと、リスク要因がいくつも浮上している。

懸念されるのは、激しさを増す米中の貿易戦争だ。中国の知的財産権侵害を理由に、米国が第3弾の制裁措置を発動するなど、制裁と報復の応酬が止まらない。

国際通貨基金(IMF)は、貿易戦争で輸出入が減れば、世界の経済成長率が下振れすると指摘する。約4年ぶりの安値まで落ちた中国・上海総合指数は、それを警告するサインに映る。

日本からみても、中国からの工作機械受注の減速が鮮明になるなど具体的な影響が出始めている。貿易戦争を回避する努力を、米中は重ねるべきだ。

欧州でも火種がくすぶる。イタリアの財政計画は債務削減が不十分との見方から、イタリア国債の利回りが急上昇したのは気がかりだ。英国の欧州連合(EU)離脱交渉がなお難航していることも懸念材料といえる。

世界経済は成長を続けており、警戒しすぎてもいけない。ただ、経験則に照らすと、米国の利上げ局面ではリスクマネーが引き揚げられ、脆弱な部分が表面化しやすい。今回は、アルゼンチンやトルコの通貨が急落している。世界の政策当局者は市場の動きをよく注視し、経済安定のための政策協調を緊密にすべきだ。

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